言い争いが絶えない職場を変える「伝えるスキル」 欠けているのは「話す技術」ではなく「聴く技術」

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人生を「主人公」で生きるわたしと、人生を「主人公」で生きるあの人がいます。誰と出会い、どんな経験をし、何を思うのか。人の数だけ世界があります。わたしとあの人の世界に橋をかけたい。そのためには「あの人の視点」になりきってみましょう。

目の前のあの人は何を思っているのだろう。あの人の視点で想像し、あの人の思いに耳を傾けてみる。「心の声」を聴くと、2人が共鳴しはじめるでしょう。

これまで、ビジネスにおいて「コミュニケーション」が語られるときは、圧倒的に「伝え方に関する技術」が多数でした。「いかに伝えるか」「いかに説得するか」といった方法についてです。

この傾向は、実際のビジネスの現場でも明らかです。たとえば、上司と部下の1on1面談において、上司は1on1を「伝える場」としてとらえがちで、上司の発言が70〜80%を占めるケースが多いのです。

原因の1つは「立場の非対称性」にあります。1on1の場はリーダーにとっては「なんでも言える安全な場」ですが、メンバーにとっては「発言を誤ると評価に影響を与えかねない危険な場」になっているのです。

しかし本来、コミュニケーションとは互いに意思や感情、思考を伝達しあうことのはずです。そのため、これからより大切となるのは「話す技術」ではなく、「聴く技術」といえます。

人の話を聞くことには「4つのレベル」があります。

・あいづちはうつけど、話の中身はまったく耳に入っていない「聞き流す」レベル
・反論を考えながら相手の話を聞く「選択的に聞く」レベル
・神経を集中して、相手が話すことを聞く「熱心に聞く」レベル
・相手の立場になりきって、深く共感しながら耳を傾ける「傾聴する」レベル

最後の「傾聴」こそが自分と相手の心に橋をかける姿勢です。人間は「自分のことを理解してもらいたい」と熱望する生き物です。「傾聴する」ことこそ信頼関係をつくり、あらゆる問題を解決するための第一歩です。

あなたの心は「表情」から透けている

どうすれば、相手の話を傾聴できるのでしょうか。まずは想像力をはたらかせて、相手の言葉に耳を傾けましょう。このとき、怖い顔、厳しい顔、疑っている顔をしていると、相手は緊張してしまいます。

評価しているのか。反論を考えているのか。本気で話を聴こうとしているのか。相手は「自分の話がどう受け取られているか」を、あなたの表情やしぐさから読み取っています。あなたの目の輝きやあいづちを通じて、傾聴の姿勢が伝わると、相手の警戒心も解けはじめ、相互の信頼関係がつくられていくでしょう。

1つ注意したいのは、大切なのは「共感しながら傾聴する」ことであり、相手の意見をそのまま受け入れる「同調」とは異なるということです。

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