命奪われた被害者遺族が作る「人型パネル」の意味 年内閉館「いのちのミュージアム」が果たした役割
理不尽に命を奪われた被害者遺族の集い
直径80センチほどの赤い毛糸玉を中心に、ろうそく型のLEDライトの灯りがゆらゆらと揺れる。集まった遺族たちが、命を奪われた人たちの名前、年齢、都道府県を読み上げていく。
「……14サイ、トチギケン、スズキレイサン、19サイ、カナガワケン、スズキ……」
輪になって座る遺族は23人。読み上げられた名前は五十音順で154人に上った。
11月19日、東京都日野市。かつて小学校だった百草台コミュニティセンターで、NPO法人いのちのミュージアム主催の「キャンドルアートの祈り」が開かれていた。翌日は「世界道路交通犠牲者の日」。それに合わせた企画であり、活動趣旨に賛同する遺族たちは、沖縄、香川、長野など13府県から集まっていた。
いのちのミュージアムの常設展示は、日野市の百草台コミュニティセンター内にある。廃校になった小学校の建物。教室だった部屋を使った常設ギャラリーには、等身大の人型パネル「メッセンジャー」が並んでいる。
その足元には故人の靴と秒針だけの時計、胸元には写真と家族からのメッセージ。交通事故のみならず、強盗殺人や集団暴行などの凶悪犯罪で突然、命を奪われた被害者たちのパネルだ。
メッセンジャーを数える際、単位は「個」や「人」「名」ではなく「命」を使う。閉館に伴う作業が本格化するまで、常設ギャラリーには100命以上が展示されていた。
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