命奪われた被害者遺族が作る「人型パネル」の意味 年内閉館「いのちのミュージアム」が果たした役割

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NPO法人「いのちのミュージアム」代表の鈴木共子さん。亡き息子・零さんのメッセンジャーと(写真:穐吉洋子)
交通事故や犯罪で理不尽に命を奪われた被害者を表した白い人型パネルを展示する「生命(いのち)のメッセージ」展。2001年から全国各地で展示し「命とは奪っても奪われてもならない」と訴えてきた。
その展覧会を主催し、常設ギャラリーを設けるNPO法人「いのちのミュージアム」(東京・日野市)が、建物の老朽化のためこの12月に閉館する(移転先を模索中)。これまでの活動も振り返りながら、ミュージアムが取り持った人との輪を通して、命の教育とグリーフケアについて考える(全2回の第1回/第2回はこちら)。

理不尽に命を奪われた被害者遺族の集い

直径80センチほどの赤い毛糸玉を中心に、ろうそく型のLEDライトの灯りがゆらゆらと揺れる。集まった遺族たちが、命を奪われた人たちの名前、年齢、都道府県を読み上げていく。

「……14サイ、トチギケン、スズキレイサン、19サイ、カナガワケン、スズキ……」

輪になって座る遺族は23人。読み上げられた名前は五十音順で154人に上った。

11月19日、東京都日野市。かつて小学校だった百草台コミュニティセンターで、NPO法人いのちのミュージアム主催の「キャンドルアートの祈り」が開かれていた。翌日は「世界道路交通犠牲者の日」。それに合わせた企画であり、活動趣旨に賛同する遺族たちは、沖縄、香川、長野など13府県から集まっていた。

「キャンドルアートの祈り」(写真:穐吉洋子)

いのちのミュージアムの常設展示は、日野市の百草台コミュニティセンター内にある。廃校になった小学校の建物。教室だった部屋を使った常設ギャラリーには、等身大の人型パネル「メッセンジャー」が並んでいる。

その足元には故人の靴と秒針だけの時計、胸元には写真と家族からのメッセージ。交通事故のみならず、強盗殺人や集団暴行などの凶悪犯罪で突然、命を奪われた被害者たちのパネルだ。

メッセンジャーを数える際、単位は「個」や「人」「名」ではなく「命」を使う。閉館に伴う作業が本格化するまで、常設ギャラリーには100命以上が展示されていた。

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