20万円で買った古民家に住む男「冬の寒さ」の現実 自給自足「水を引き、薪をくべ、暗くなったら眠る」

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作業で出した道具類を片付け、作った薪を縁側に並べ、ストーブには使えない端材を五右衛門風呂の焚き口に放り込み、追い焚きの準備を整える。家に入り、縁側に並べたストーブ用の薪をストーブ横の薪置き場に運び込む。簡易バッテリーのパネルを外して、バッテリーを室内に入れておく。

残っているゴハン(冷や飯)を確認して、今日炊く分の米を鍋に出し、軽く研いで水に浸ける。ストーブに薪を入れ、Wi-Fi のスイッチを入れて、メールなどをチェック。なんとなくYouTube を見てしまう。

毎夕メニューはほぼ一緒

米の鍋をストーブに載せ、鹿汁の残りもストーブに載せる。米の鍋が吹いたら、ストーブの端の熱が弱いところに移し、台所でオカズの準備。鹿の背ロースの刺身、納豆、鹿汁が夕食のオカズである。キムチ(購入品)もある。薬味用にネギ(収穫して新聞で包み、部屋に入れてある)をみじん切りにして、刺身用にニンニク醬油をつくる。

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夕ご飯の前に、五右衛門風呂に火をつけてくる。

毎夕メニューはほぼ一緒なのだがいつもうまい。一息ついたところで、五右衛門風呂の温度を見に行く。まだ30度といったところだ。冬はなかなか温まらず、温度の調節が難しい。薪をくべて、夕食の続き。食べ過ぎないように注意。10分後に風呂の温度チェックに行くと、熱くなりすぎていた。

布団を敷いて、寝袋を広げ、湯たんぽにしているヤカン型水筒をストーブに載せ、服を全部脱いで風呂に行く。熱くなりすぎているので、水を入れてかなり埋めなくてはならない。

風呂では本を読むかノートパソコンでYouTubeを見ている。冬は湯気がもうもうと立つので本はちょっと読みにくい。とにかくだらだら汗をかきながらできるだけ長く入る。これも健康法のひとつである。風呂から上がったら、裏に回って水を浴びる。冬の水浴びは冷たいが、これも健康法のひとつ。免疫力が上がった気がする。

服部文祥さんが暮らす古民家で入浴
夏は軽くひとかかえほどの薪で沸く。冬は少し時間がかかる

寝間着を着て、湯たんぽを寝袋に入れ、家の中に問題がないかひととおり確認する。水道を止めていると凍結して大惨事になる。バッテリーが上がらないように電気もすべて切り、簡易バッテリーを電気スタンドに繫いで、寝袋に潜り込んで本を読み、眠くなったら眠る。

そしてまた、同じような明日がやってくる。

服部 文祥 登山家、作家

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はっとり ぶんしょう / Bunsyo Hattori

1969年生まれ。世界第二の高峰K2などに登頂したのち食糧を現地調達する「サバイバル登山」を開始。著書に『サバイバル登山家』『狩猟サバイバル』『サバイバル登山入門』『息子と狩猟に』『サバイバル家族』『You are what you read』など。

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