ウーバーイーツ配達員「労働者認定」埋まらない溝 団体交渉は認められたが労基法の雇用に当たらない

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「団結権」=労働条件の問題解決や安定維持のために労働組合を組織したり、組合に参加したりできる権利のことです。会社と対等な立場で団交が可能です。
「団交権」=労働者団体がその代表者を通じて、使用者と労働条件や労使関係上の取り決めなどを交渉する権利のことです。
「団体行動権」=労働を放棄して団体で抗議できる権利のこと。ストライキといった争議行為を実力行使できます。使用者は労働組合や組合員に対し損害賠償を請求することはできません。

労組が求める団体交渉に会社は応じなければならない

今回の都労委による命令書は、これらの労働組合法における権利を認めました。労働組合からの団交の申し入れを拒否すれば、団交拒否の不当労働行為が成立します。「使用者が雇用する労働者の代表者と団交をすることを正当な理由がなくて拒むこと」を不当労働行為として禁止しています。団交権は憲法上保障されており、正常な労使関係を維持していくための重要な権利の1つです。

労働組合から団交の申し入れがあった場合には、誠実に対応する必要があります。したがって、使用者としては、自らの主張を明確にしたうえで、その根拠を資料を示すなどして交渉にあたらなければ、誠実交渉義務違反として、不当労働行為が成立する可能性があります。団交はあくまで交渉ですから使用者が譲歩しなければならないということではありません。

誠実な交渉を継続して実施したにもかかわらず、双方の主張の対立が続き、労使相互に譲歩の意思がないことが明らかとなり、もはや交渉の余地がないという事態に至り、使用者が交渉を打ち切った場合には、正当な理由による団交の拒否として不当労働行為が成立しません。最近はこのケースが増えています。

スマホの普及によって、自分の都合に合わせて働ける「ギグワーカー」が増えています。時間や場所を選べるため、本業がある人や、育児や介護などでフルタイムの仕事に就きにくい人も参加できます。サービスの魅力は高まりますが生計を立てていくにはさまざまなリスクもともなうはずです。

ここで、ウーバーイーツ配達員の平均月収はどの程度か試算します。日またぎクエスト、雨クエストなどのクエスト類はルールが頻繁に変わるので適用しません。平日は本業をやりつつ、週末2日間だけ頑張って、1カ月働き続けた場合です。

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