「人類最強の痛み」尿路結石症治療に新たな可能性 糖尿病治療薬に「結石の形成抑制作用」明らかに
腎臓から尿道の間にできた「石」が原因で生じる尿路結石症。わが国の尿路結石症患者は増え続けており、生涯でかかる人の割合は男性で7人に1人、女性で15人に1人に達している。
主な症状は背中やわき腹の急な痛みと血尿で、その痛みは群発頭痛、心筋梗塞に並ぶ3大激痛の1つとされる。“人が感じる最強の痛み”ともいわれており、最近ではテレビのバラエティー番組で、尿路結石症の痛みを経験したお笑い芸人やタレントが、自身の体験を赤裸々に告白していた。
そんな尿路結石症に、「薬」という新しい治療手段が生まれるかもしれない。東北医科薬科大学医学部の阿南剛(現・四谷メディカルキューブ泌尿器科長)らの研究グループがこのほど、ある糖尿病治療薬に結石が作られるのを抑える働きがあることを、見つけたのだ。
小さな結石は尿で自然排泄される
まず尿路結石症とはどんな病気か、おさらいしておきたい。
尿路結石症は腎臓から尿道までの尿路に結石ができる病気だ。小さな結石なら尿によって自然に排泄されるが、大きいものだと腎臓などにいつまでもとどまっている。
尿管の直径は通常だと5ミリ程度で、蠕動(ぜんどう)運動によって尿を腎蔵から膀胱へと押し出している。結石は腎臓にとどまっているうちは痛みがないが、尿管に結石が降りてくると激痛が生じる。初めて経験した人は、その激痛に「体に何かの異変が起きたのでは?」と驚くほどだ。
結石にもいくつかの種類があり、大部分はシュウ酸カルシウム結石だが、それがなぜできるのか、詳細なメカニズムはわかっていない。また、一度できてしまった結石は外科的に除去する方法(これは後述する)はあるものの、これを溶かす薬や、できないようにする薬は現時点では存在せず、タンパク質や脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂ること、そして十分な水分摂取をすることぐらいしか、防ぐ手段がない。
例えば、カルシウムは体に必要なミネラルだが、シュウ酸を過剰に摂取するとシュウ酸カルシウム結石ができやすい。シュウ酸を多く含んでいる食品はホウレンソウやタケノコ、玉露、抹茶などで、それらを過剰に食べている場合は控える必要がある。
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