「人類最強の痛み」尿路結石症治療に新たな可能性 糖尿病治療薬に「結石の形成抑制作用」明らかに
結石は痛みを訴えて医療機関を受診すること(救急搬送されることも)で診断がつくが、健康診断時の腹部エコー(超音波)検査で発見されることも少なくない。要精密検査となったあと、医師の診察やCT(コンピュータ断層撮影)などの画像診断などから、尿路結石症と確定診断される。
「尿路結石症診療ガイドライン」では、尿路結石(腎結石、尿管結石)のうち、10ミリ以上の腎結石や、自然に排泄されない尿管結石、もしくは水腎症(尿の流れが悪い状態)を伴うときに治療が必要としている。
結石を破砕する治療が有効
有効な治療が結石を粉々にする破砕術で、体の表面から衝撃波を当てて石を破砕する「体外衝撃波結石破砕術(ESWL: Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)」と、尿道から内視鏡を挿入し、患部を観察しながらレーザーで石を破砕する「経尿道的尿路結石破砕術(TUL: Trans Urethral Lithotripsy)」がある。現在、増えているのが後者のTULで、阿南氏のこれまでの実績はすでに700例を超える。
TULは、直径3ミリ程度の内視鏡を尿道から挿入し、尿路をたどって約50センチ先にある腎臓に到達させる。そこで内視鏡の先端を大きく曲げるなどの巧みな操作をし、結石を探す。見つかった結石はレーザーで砕いて、粉々になった破片をバスケット状のカテーテルで回収するのが一連の流れだ。TULは全身麻酔で、治療時間は1時間から1時間半ぐらいだ。
腎臓内には、作られた尿を集める漏斗状の「腎杯」と、腎杯で集められた尿をまとめて尿管に運ぶ「腎盂」という場所があり、腎結石はこの腎杯や腎盂にできる。阿南氏は尿路結石症の患者を診察して治療方針を決める際、患者には腎臓を6LDKの家に例えて説明する。
「腎臓に結石が見つかったからといっても、できた場所によっては緊急に取り除かなくてもいいものがあります。 6LDKのリビングにあたる腎盂の結石は緊急性が高く、患者さんには“尿管にいつ落ちて激痛を生じるかわかりませんので、レーザーで砕きましょう”と説明します」
「一方、各部屋にあたる下腎杯、その上にある中腎杯、最上部の上腎杯の結石も、腎盂から尿管に落ちていく可能性がありますが、こちらはCTによって腎結石の詳細な位置を確認することで、治療の緊急性が決まってきます。結石の大きさだけでなく、年齢や併存疾患を考慮しつつ、患者さんと相談して、治療するかどうかを決めていきます」
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