通用しなくなった旧来の情報流通の常識--『キュレーションの時代』を書いた佐々木俊尚氏(ITジャーナリスト)に聞く

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通用しなくなった旧来の情報流通の常識--『キュレーションの時代』を書いた佐々木俊尚氏(ITジャーナリスト)に聞く

情報流通の常識が劇的に変わり、人と人との「つながり」で情報を共有する時代になったという。この「大変化」を個人は、会社はいかに生き抜くべきなのか。

──キーワードは「キュレーション」ですか。

キュレーションは、無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて、情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有することを意味する。日本も今や「一億総キュレーション」の時代になってきている。

最初にキュレーションという言葉を見たのは一昨年の夏。Webページをぱらぱらと読んでいて知った。学芸員という意味のキュレーターはわかるが、キュレーションの訳語はない。キュレーターから連想される「学芸」は当てはまらないし、近いように思える「目利き」も別の意味が含まれている。しかし、この単語の入った文章を読み続けるうちに、意味するところがわかってきた。1語の日本語にはしにくいが、情報流通の最新キーワードとして最適だと判断して拾い上げた。

──ご自身が「情報のキュレーター」ともいわれます。

ある分野ではインフルエンサーであり、また、ほかのある分野ではフォロワーになっている。

情報には、フローの情報とストックの情報の2種類がある。僕は新聞や雑誌はほとんど読まない。フローの情報は、ブログやニュースサイトなどから日々流れてくる。もちろん英語圏などからダイレクトで入ってくるものもある。630サイトの新着通知サービスを受け、1000ぐらいの見出しを毎日見ている。そのうち数十については本文も読む。面白ければツイッターやブログなどでリンク付きで紹介する。

ただし、その情報が人間社会にとってどういう意味を持つか深掘りするには、日々情報をキャッチしているだけでは済まない。そこで、ストックの情報が重要になってくる。それは本による。哲学書や歴史書その他を、週末などに極力時間を作り、読む。これにもネットでの推薦を生かす。それによる蓄積で、文化的な横軸の題材に突き当たることができ、また考えに新しい光が見えてくる。

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