「夏にチョコが食べづらい」解決した逆転の発想 問題解決は得意だが、問題発見は苦手な日本人

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イノベーションは大掛かりな設備や資金がなくても生み出せます(写真:metamorworks/PIXTA)
「問題解決の前に、課題を“発見する能力”が、いま求められている」。そう話すのは、元ネスレ日本社長の高岡浩三氏です。Uber、ダイソン、ライザップ、キットカット……革新的なヒットはいかにして生まれたのでしょうか。同氏の新著『問題発見の教科書』を一部抜粋し再構成のうえ、物事の本質にたどりつくための思考力、結果を出し続けるための仕事術をお届けします。

資金がなくてもイノベーションは生み出せる

顧客(消費者)が気づいていない問題、諦めている問題を見つけることを、私はイノベーションと呼んでいます。

イノベーションとはAppleのiPhoneやソニーのウォークマンのように、「今まで世の中になかったもの」を生み出すことだけではありません。

私は、すでにある製品やサービスの中の顧客が気づいていない問題、あるいは諦めている問題を見つけるところからイノベーションが始まると考えています。

例えば、ネスレでは毎年「イノベーションアワード」という社内コンテストを実施しています。そこで工場に勤務する若い社員が考えた「焼きキットカット」が大賞を取りました。これはキットカットをオーブントースターで2分間焼くだけの超簡単なアイデアです。

私は即座に大賞にしたいと思いました。

なぜなら、このアイデアは「夏場に消費者がチョコレートを食べづらくなる」という問題をもとにしているからです。

キットカットを焼くと表面が少し焦げてサクサクしたビスケットのような食感になり、夏でも食べやすくなります。しかも、焼いたら溶けづらくなるという不思議な現象も起きるのです。

他の役員からは「キットカットを焼くだけじゃないか」と言われましたが、半ば強引に大賞にしました。その後、トースターで焼くキットカットを発売し、大ヒット商品になりました。

暑い時にあえてチョコを焼いて食べる。見事な逆転の発想だと思います。

このように、イノベーションは大掛かりな設備や資金がなくても生み出せます。誰でも顧客が気づいていない問題を見つけられますし、見つけられたら10年ぐらい売れ続ける製品になります。

誰も気づいていない問題を見つけることはハードルが高いことであるのは間違いありません。それでも、顧客が諦めている問題を見つけられれば、ビジネスの9割は成功したも同然です。

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