「夏にチョコが食べづらい」解決した逆転の発想 問題解決は得意だが、問題発見は苦手な日本人
ガムが売れなくなった原因も、スマホにあります。それはつまり、今まで暇つぶしでガムを嚙んでいた人が想像以上に多かったということです。
その説を裏付けるように、ガムは20年前に比べると5割以上売り上げを落としているというデータもあります。
日本チューインガム協会のデータによると、2002年の小売金額は1724億円で、2021年は755億円。2000年以後最初の5年でゆるやかに増減を繰り返し、スマホが登場した2011年以降も年々落ちていき、コロナ禍の2020年にガクンと減っています。
子どもの虫歯に親が気をつけるようになったという理由もあるかもしれませんが、チョコレートは20年前より大幅に売り上げがアップしているので、それが根本的な原因とは考えづらいでしょう。
要は、同じ業界の同じような商品が競合になるのではなく、まったくの異業種が競合になる時代になったということです。真のライバルは隣にはいない可能性があります。
「新しい現実」がつれてくるもの
それでは、ガムはどうすれば復活するのでしょうか?
残念ながら、スマホのほうが世の中をよりよくするパワーがあるので、元に戻ることは難しいでしょう。人はガムを嚙んでいる時間より、スマホをいじる時間のほうが満たされているのです。
ただし、暇つぶしの商品としては終わっても、機能的な商品に切り替えることはできます。
アメリカの大リーガーがガムを嚙みながら試合をしているように、ガムには集中力をアップする効果があるといわれています。ガムを嚙むと脳が活性化するというデータもあるので、そういう研究結果を出しつつアピールすれば、今までとは違う需要が生まれるのではないでしょうか。
また、ガムを嚙むと顎の筋力が鍛えられて、歯並びや小顔効果にも影響があるともいわれています。以前ほどは売れなくても、方向性を変えれば安定した売り上げを維持していけるかもしれません。
これが、「新しい現実が新しい問題をつれてきた」実例です。
スマホによってライフスタイルが変わるという新しい現実が起き、それまでの暇つぶしに費やしていたものが根こそぎ持っていかれるという事態が起きた。それに対して味や数などで対抗しようとしても根本的な問題解決にはなりません。
もしスマホでも満たされないニーズを見つけたら、それは世界をよりよくする問題になります。そんなところに視点を置くと、今まで見えてこなかった問題が見えてくるはずです。
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