サントリーとアサヒ、訴訟前の熾烈な"抗争" ノンアルコールビールの製法特許を巡り火花

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ノンアルコールビールの2強、サントリーとアサヒがぶつかり合っている

ビール業界最後の“金脈”をめぐる争いは法廷に場所を移した。サントリーホールディングスは、アサヒビールが販売しているノンアルコールビール「ドライゼロ」が自社の製法特許を侵害しているとして、2015年1月16日にアサヒを提訴。製造・販売の差し止めや在庫の廃棄を求めている。第一回の口頭弁論は3月10日に東京地方裁判所で行われた。

ノンアルビールの市場規模は約1600万ケース(1ケース・大瓶20本分)といわれ、第3のビールの10分1程度しかない。だが、ビール市場全体の縮小が続く中では、数少ない成長カテゴリーだ。同市場で双璧をなすブランドが、サントリーの「オールフリー」(2014年の販売実績720万ケース)とアサヒの「ドライゼロ」(同630万ケース)。2つ合わせて8割以上のシェアを握っている。

始まりは2013年10月

係争が明るみに出たのはこの3月だが、実は、訴訟に至るまでに合計14回もの書面が両者で取り交わされている。

貴社製品「アサヒドライゼロ」に関する件――。

アサヒの元へ、2013年10月7日付でサントリーから一通の書面が届いたことがすべての始まりだった。そこには、サントリーが発明したノンアルビールの製法が近日中に特許登録されること、ドライゼロはその特許に抵触する旨が記されていた。

サントリーの要求は、自社の特許とドライゼロの製法の関係について、見解を早急に伺いたいというもの。手紙が届く直前の2013年9月、ドライゼロはリニューアルに伴って製法を変更したばかり。キャンペーンを展開し、これからという矢先に、ライバルから”物言い”がついた格好だった。

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