サントリーとアサヒ、訴訟前の熾烈な"抗争" ノンアルコールビールの製法特許を巡り火花

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アサヒが10月21日に設定された回答期限の延長を申し出た後、書面を送ったのは11月5日。社内での調査や検討の結果、サントリーの発明には「無効理由が存在することが判明致しました」とし、ドライゼロの販売について「問題ないものと判断しております」と答えている。

これに対し、一週間後にはサントリーが特許が「無効」だとする具体的な理由を示すよう求め、アサヒがその理由を列挙した書面を送り返すと、さらにサントリーが詳細な反論を展開。両社の言い分は平行線をたどった。結局、サントリー側が直接の面談を提案し、アサヒがこれに応じたため、10月から始まった書面での”意見交換”は2013年12月でいったん打ち切られた。

2014年1月8日に面談

直接顔を合わせての話し合いは2014年1月8日、東京・浅草のアサヒビール本社で行われた。出席者は両社の知財担当者数名。その場では、サントリーがドライゼロの製法変更を含めた和解協議を提案している。が、アサヒはこれを拒否し、物別れに終わった。

アサヒビールの小路善明社長(撮影:梅谷秀司)

その後、話し合いの場が持たれることはなく、4月10日にアサヒに宛てた書面で、「法的手段を考慮せざるを得ない」と、サントリーはついに訴訟の可能性を示唆。それを回避したい場合は、4月24日までに具体的な和解案を記載した書面を送るよう迫った。アサヒは和解の条件として「製法の変更」に応じることを断固拒否。交渉は完全に決裂した。

最終的に、サントリーは11月27日、アサヒビールの小路明善社長宛てに申し入れを送付。ドライゼロの製造・販売の中止などを求め、書面到着後20日以内に対応しない場合は法的措置を執るとした。アサヒはサントリーの新浪剛史社長に宛てた12月15日付の書面で、訴訟はやむを得ない旨を示し、争いの場が法廷に移ることが決定的となった。

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