「iPhone工場暴動」で始まった"中国モデル"の破綻 ゼロコロナ政策で国民の不満は爆発寸前
「1日中抗議した。昼から夜までだ」と、抗議活動に参加した韓力は言う。鄭州市出身の韓は、最近新たに採用された労働者の1人だ。
韓は、ボーナスの支給や工場での生活環境は事前に約束されていたものと違い、だまされたと感じていると話した。労働者が何人も殴られて負傷するのを目撃したと言う。
ホンハイの労働者がニューヨーク・タイムズに提供した複数の動画には、何千という労働者が暴動鎮圧装備と防護服を着用した警察官を鉄パイプや鋼材で殴ったり、鋼材を投げつけたりする様子が映っていた。
夜明けに撮影されたある動画には、その結果とみられる状況が記録されている。道端にうずくまって動けなくなった労働者に、警備担当者が集団になって蹴りを食らわせる様子だ。血まみれのセーターを着て路上に座り込む労働者もおり、頭に巻かれたタオルにも血が染みていた。
アップル「従業員の懸念に確実に対応する」
ホンハイは声明で、ボーナスの支給遅れは社内の採用システムの「技術的エラー」によるものと釈明。暴動については、従業員や政府と協力して「同様の事故の再発を防ぐ」と誓った。
アップルの広報担当者はニューヨーク・タイムズの取材に対し、同社の現地チームが「状況を調査しており」、ホンハイとともに「従業員の懸念に確実に対応する」取り組みを進めていると述べた。
ホンハイは23日夜、退職を希望する労働者に1400ドルを支払い、帰宅用の交通費も負担すると約束した。
「泣きたい気分にしかならない」。韓は24日、「今はただ、補償金を受け取って家に帰ることしか考えていない」と話した。