これまで6年間で1万人以上の教育相談を直接受けてきた経験から子育て・教育が比較的スムーズにいっている方と、そうではない方には傾向があると感じています。その差はどういった点にあるのか。以下の5つの欲求段階に整理して考えてみます。
「親の願いを実現できる子に育てたい」親の場合
〈「親の願いを実現できる子に育てたい」親がやりがちな言動5段階〉
子どもが生まれ、「生まれてくれてありがとう」と感謝の気持ちが湧き出て、これからも健康で育ってほしいという願いを持ちます。
生まれてしばらくすると、“平均値”が気になります。同年齢の子どもはどうなっているのか、その平均に照らして、そこから外れると心配になったりします。また、同年齢の子と同じ行動をとることを望み、目立つことを避けるようになります。そのため、子どもに規制をかけたり、叱る・怒るの頻度が増えていくことがあります。
子どもを自律的に動ける人に育てたいと思うなか、親はまず子どもの生活習慣を整えたいと思うようになります。
生活習慣は大切ですが、ただ、そのアプローチが子どもの特徴に合わせたものでなく、ただ親の生活パターンに合わせてほしいといったものだと、子どもは反発していきます。
小学校1年から勉強が始まり、義務教育が終了する中学3年生、さらに多くの子どもが高校を卒業し成人する18歳まで、だいたい12年間ほど、親が見守る期間が続きます。その間、成績表を見たり、入試があったりして、子どもの勉強について気になることがたくさん出てきます。
しかし、勉強は子どものためにあり、親のためにあるわけではありません。成績が悪かったとして、子ども自身が悩むのはわかりますが、親は自分のことではないわけですから、悩んでしまうというのは自分と子どもを一体のように考えてしまっているのかもしれません。
多くの親は、このような言葉を直接口にはしません。表向きは「子どものやりたいことを自分で見つけ、それに邁進してほしい」と言います。しかし、親が子どもの進路にアドバイスをするのではなく、誘導したり、ひどい場合には親が進路を一方的に決めてしまうこともあります。
このような5つの段階を経ていく途中で、通常、子どもは反発、反抗という形を取り、親の方向が違うことを暗に示しますが、それに気づかず進めていくと、親子の信頼関係が崩れるだけでなく、憎悪の念すら出る場合があります。実際、筆者の下にはこうした5段階で育てられ、親を恨んでいるという相談もたびたび来ます。
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