お好み焼き「道とん堀」"2つのナゾ"の意外な真相 シンボルマークの"たぬき"にも意外な理由が

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トレードマークの「たぬき」

「店員が掛け声を言わなかったり声が小さかった時は『残念』『もっと大声で言ってほしい』とクレームが入ることすらあります。新しく入った店員はこの掛け声を恥ずかしいと思うこともあるようですが、慣れてくるとみんな大声で言えるようになります」

従業員マニュアルにも含まれており、店に行けば必ず言われるこの掛け声。いったいなぜ生まれたのか。

「25~6年ほど前、埼玉県のとある店舗で当時の店員たちが『どうやっておもてなしをするか』『お店で楽しんでもらうために何をしたらよいか』を考えて、アイデアを出し合いました。そこでたぬきがトレードマークということもあり『ぽんぽこぽん!』を語尾につけてみてはどうかというアイデアが出され、たぬきが店で騒いでいるイメージとして定着しました」

その5年ほど後に「ぽんぽこぽん!」を考案した女性社員が研修部に異動になり、それを接客のマニュアルとして採用。販促の一環や接客用語として全国のチェーン店で使われるようになったという。

マーケティング的に狙ってできたものではなかったというのは、ちょっと新鮮だ。

世界にお好み焼き文化を広める道とん堀

現在「ぽんぽこぽん!」の掛け声は全国の「道とん堀」のすべてのお店で言われているという。

来店客の中には道とん堀のことを「ぽんぽこぽん」と呼ぶ人もいるそうだ。時には、ある女子高生がSNSで「ショッピングセンターで遊んでからのぽんぽこぽんに行ってきた!」とコメントしたりと、来店客にお店をより親しく感じてもらえるための材料としても一役買っている。

「全世界に日本の文化であるお好み焼きを発信したい」と意気込む道とん堀だが、まだ海外チェーンでは「ぽんぽこぽん!」は採用されていないという。世界各地の店であの掛け声を聞くことのできる日は来るだろうか。

福井 求 ライター

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ふくい もとむ

1993年生まれ。三重県出身。関西の国公立大学に進学し、文化人類学・セクシュアリティの分野を専攻。卒業後は大手印刷会社、出版社勤務を経てフリーのライターに。主に会社へのインタビューを中心に行い、ビジネス系やセクシュアリティ、ジェンダーに関する記事をメインに執筆中。またWeb記事専門の編集プロダクション・合同会社にげば企画を運営。趣味は女装と映画鑑賞。特技はメイクとスペイン語。

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