W杯サッカー初の女性審判「山下良美」が開いた道 「もともと審判になる選択肢は頭になかった」

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山下さん:「あなたも審判をやってみれば?」と勧められて、初めて「そういう道もあるのか、じゃあせっかく声を掛けてもらったし、まずはやってみようかな」くらいの気持ちで始めたんですよ。

いざ審判をやってみると、選手時代とはまた違う立場からサッカーについて考えられるようになってきました。「楽しい」という感情とは違うけれど、サッカーの奥深さにどんどん気付いていく感じ。

ピッチに立たせていただくたびに、自分のスキルについても「次はここをもっと修正しよう」「もっと良くしたい」という感情が自然に湧いてきました。
そうこうしているうちに、いつの間にか審判を続けていたんですよね。

「将来の夢」から逆算はしない

山下さんは、「遠い先の目標を考えるのは苦手。目の前のことだけに集中したいタイプなんです」と話す。

山下さん:将来のことはあまり考えていません。

だから、審判を始めるきっかけが先輩の勧めだったように、新しいことに挑戦するのも、人から声を掛けてもらった時が多いんです。

目の前の仕事にコツコツと向き合うことに夢中になっているうちに、いつも周囲の方が新しい扉を開いてくれるんですよね。

私はそこに飛び込んでいくだけというか。 私がいつもぼんやりしているから、「もっとこうしてみなよ」って皆さんが手を差し伸べてくれるのかなと思いますね(笑)

そんな中、「女性初のプロレフェリー」となり、周囲からは将来のことについて質問される機会も増えた。

(写真:woman type)
山下さん:プロになったからと言って、審判としてやるべきことは今まで通り揺るぎないものです。そこはいつも通り、しっかり取り組んでいくだけなので変わりありません。

ただ、未来について考えることがあるとすれば、女性審判がもっと活躍できるような道をつくっていきたいということ。

今、私は「女性だから」ということで注目してもらっています。でも現時点では、それでもすごくありがたい。

だって、今回こうして注目してもらえたからこそ、他の女性たちが活躍する機会も増えるし、審判を目指したいと感じてくれる人も増えると思うので。

22年9月には、J1リーグの試合で主審を担当。約5万人の観客が見守る中、最後まで的確に試合をコントロールした山下さん。

「女性初」という肩書きに重荷を感じることはないのか聞くと、「少し身構えてしまったのは最初だけだった」と明かす。

(撮影: Masashi Hara)
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