シャンシャン中国に送るエキスパート集団の正体 コロナ禍で延期、来年2~3月に直行便で四川省へ

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こうしたさまざまな手続きを経てでも、シャンシャンを中国へ行かせるのは、繁殖のためだ。パンダは絶滅の危険があるなか、近親交配を避けて、遺伝子の多様性を保ちながら繁殖する必要がある。ふさわしい相手は、血統のデータによって、ある程度絞れる。ただ、データではわからない好みや相性もあるので、パンダが多い中国へ行くほうがいいというわけだ。

パンダが繁殖できるようになる性成熟の年齢は、一般的に雌は4~5歳、雄は6~7歳とされる。シャンシャンは雌で現在5歳だ。上野動物園によると、シャンシャンが性成熟したことは、11月18日時点で確認されていない。

パンダの繁殖期は一般的に年1回、2~5月頃。1回の繁殖期に1回発情し、1~3日だけ交尾・受精できる。実際、上野動物園のシンシン(真真)は、2017年2月27日にリーリー(力力)と交尾して6月12日にシャンシャンを生み、2021年3月6日に交尾して6月23日に双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)を生んだ。

シャンシャンの弟、シャオシャオは上野動物園の西園パンダ舎にいる。2022年10月28日(筆者撮影)

シャンシャンも2023年2月以降に発情期特有の行動を示して、性成熟を確認できるかもしれない。2月中旬~3月上旬なら、ちょうど中国行きの時期と重なる可能性がある。

シャンシャンにお婿さんを迎えるアイデア

それでは、シャンシャンが中国へ行かずに繁殖できる方法はないのだろうか。上野観光連盟の二木忠男名誉会長は、2022年10月に開催された「うえのパンダフェスタ」で、上野動物園の福田豊園長らとのトークショー後、「難題だらけだとは思いますが、シャンシャンのお婿さんを見つけて、上野でお母さんになってほしいという夢を描いています」と語った。

中国からお婿さんが来たとしても、シャンシャンと相性が良いとは限らず、確かに難題だ。しかも、基本的にシャンシャンの繁殖方針を決めるのは所有権のある中国側なので、シャンシャンのお婿さんの受け入れはハードルが非常に高い。

次ページほかには、人工授精という方法があるが…
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