計画停電に頭を痛める東京近郊の医療機関、紙おむつの調達も難題【震災関連速報】

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計画停電に頭を痛める東京近郊の医療機関、紙おむつの調達も難題【震災関連速報】

東京電力による「計画停電」への対応に、東京近郊の医療機関が頭を痛めている。

東京・八王子市の永生病院は病床数628床を有する、市内でも指折りの大手医療機関。主に高齢患者が入院している。同病院が直面しているのが「計画停電」への対応の難しさだ。同病院では医療IT化を進めてきたこともあり、電子カルテシステムやオーダリングシステムが稼働。医薬品の受発注や診療の一部にこれらシステムを使用している。そこに停電のリスクが覆い被さった。

「急に電力が止まると大変なことになりかねない」と同病院の田野倉浩治事務部長は指摘する。システムが稼働しているさなかに停電に見舞われた場合、患者の診療記録などが急に消えてしまう恐れがあるからだ。

そのため、「東電から通知された停電の時間帯よりも1~2時間早めにITシステムの稼働をストップささせ、トラブルが起こらないように注意を払っている」と田野倉部長は話す。そして、「紙ベースに切り替えたうえで対応している。医薬品卸会社への注文はFAXから直接やりとりするなどの対応をしている」(同部長)。

3月15日、永生病院では、紙ベースへの対応に初めて切り替えた。永生病院が位置する市内の地区では、15日は18時20分から22時にかけて停電が計画されていたため、同病院では17時にシステムを止める準備に入った。翌16日は15時20分から19時まで計画停電の予定が明らかにされたが、午前11時に回避の連絡があり、紙への切り替えはせずに済んだ。

17日については、12時20分から16時まで停電の予定が通知されているため、「午前10時にはシステムを止めないと行けない」(田野倉部長)と見ている。

準備が整わないまま急に停電になった場合、「電子カルテを見ることができなくなる」「入力した診療記録が保存できている保証がない」といった問題が起こりうるという。また、ITシステムはレントゲン検査などともつながっている。「計画停電を見越した対応は毎日のように求められている」(田野倉部長)。

永生病院は、衛生材料の確保についても懸念している。「バルーンカテーテルや経管栄養のチューブなどの入荷が遅れぎみになってきた」(田野倉部長)という。現在はまだ備蓄があるものの、「徐々に調達が難しくなってきている」(同氏)という。

一方、同じ八王子市内の上川病院(介護療養型医療施設)には、126人の高齢者が入院している。2つの病棟のうち1病棟では非常用電源があるものの、もう一つの病棟にはない。ただ、携帯用吸引器などを常備しており、「全館停電になった場合でも問題が起きないように準備している」(細井充裕事務長)。

同病院では紙おむつの調達に頭を痛めている。「在庫はあと3日分で、その間に納品がないと困る」(細井事務長)。そのため、「取りに行くからと納入業者に掛け合っている」(同氏)というが、16日時点では問題は解決していないという。
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)
写真は上川病院

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