NHK「紅白歌合戦」巡って渦巻く強烈な不満の正体 「#紅白見ない」の背景、求められる「説明責任」
だからこそ、「多くの予算を使い、その内訳を明示しない紅白歌合戦は、他のどんな番組以上に、納得できる出場者でなければいけない」。令和の時代における紅白歌合戦は、そんな十字架を背負った番組なのです。
そもそも「特別企画」とは何なのか
そしてもう1つ、視聴者が「事後報告のように押しつけられている」と感じているのが「特別企画」の存在。今回も氷川きよしさんの「特別企画」出演が発表されていますが、まだまだ追加がありそうです。
実際、2019年はビートたけしさん、竹内まりやさん、松任谷由実さん、2020年はさだまさしさん、GReeeeN、YOSHIKIさん、松任谷由実さん、玉置浩二さん、2021年は松平健さん、細川たかしさん、ケツメイシ、さだまさしさんなどが「特別企画」として出場しました。
大物やテレビ出演の少ないアーティストばかりであり、段階的に分けて発表することで「本番に向けて盛り上げていこう」という意図は感じられますが、やはり説明不足は否めません。視聴者にとっては、「なぜこの人は特別企画なのか」「そもそも特別企画とは何なのか」「『特別企画のほうが上』という意味なのか」「紅組、白組のどちらにも入れづらいから特別企画なのか」などわからないことだらけなのです。
今年もこれから特別企画の追加発表があるのでしょうが、はたして多くの視聴者を納得させられる人選なのか。視聴者の目は厳しくなっているだけに、説明の必要がないくらいの大物やサプライズが求められているのでしょう。
この「情報を一度ですべて見せず、段階的に公開して人々の興味を誘う」というティザー戦略は、新商品や絶対的な支持を得ている商品のリニューアルなどで採用されるもの。視聴者の見る目が厳しくなった現在の紅白歌合戦に合うとは思えないところがありますし、もしこれを続けていくのなら、「交渉が失敗した」という点も含め、誠実に説明していく姿勢が求められているのではないでしょうか。
紅白歌合戦の出場者発表で飛び交っている不満は、「一方的に押しつけられている」「説明不足」という印象によるところが大きく、その背景にはNHKの事業そのものに対する不信がありそうです。ただそれでも、いまだ“年末の最大関心コンテンツ”であることは間違いなく、不満を漏らしながらも「こうあってほしい」と言いたくなってしまうのでしょう。
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