NHK「紅白歌合戦」巡って渦巻く強烈な不満の正体 「#紅白見ない」の背景、求められる「説明責任」
出場者の選考については、人々の趣味嗜好が細分化された今、万人を満足させることは不可能でしょう。しかし、これだけネットが発達して人々が声を上げやすい世の中になっている以上、一方的に「これでいく」と押し通すのは強引な印象を与えてしまうだけ。「紅白歌合戦」が国民的番組であるのなら、万人を満足させることは難しいとしても、過半数がそれなりに納得できるものにしたいところです。
今回、「発表直後からこれだけネガティブな声が飛び交っている」ということは、過半数が納得できるものではないのでしょう。ただ、納得できない理由は出場者の顔ぶれだけではなく、そこに根深い問題が横たわっています。
選考の説明不足と調査人数への疑問
ネット上には、不満を漏らしている人だけでなく、「NHKの選考基準がわからない」と困惑する人の声が散見されます。これこそが最大の問題であり、NHKに対する不満の根源なのかもしれません。
「なぜこの人が選ばれたのか」と「どういう基準で選んだのか」「なぜこの人は選ばれなかったのか」と「何が問題で選ばれなかったのか」「誰にオファーしたのか」と「誰にOKをもらえて、誰に断られたのか」「追加出場はあるのか」と「現在、誰に交渉中なのか」。
これらの説明が乏しいため、視聴者にしてみれば、「事後報告のように押しつけられている」という印象があるのでしょう。何かと説明責任を求めがちな世の中に変わっているにもかかわらず、紅白歌合戦は選考の意図や交渉の過程がほとんど情報公開されません。
番組ホームページに「選考について」というページがあり、そこには「1.今年の活躍 2.世論の支持 3.番組の企画・演出という3つの点を中心に、以下のデータを参考資料として検討のうえ、総合的に判断いたしました」と書かれています。
さらに「2.世論の支持」に関しては、「7歳以上の全国3898人を対象にNHKが行った『ランダムデジットダイヤリング』方式による世論調査」と「7歳以上の全国8000人を対象にNHKが行ったウェブアンケート調査」を行ったことが明記されています。ビデオリサーチの推計によると、「紅白歌合戦は毎年5000万~6000万人が視聴する」と言われているだけに、この調査人数は少なすぎでしょう。
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