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メルカリがPRにこうも情熱を注いできた納得理由 小泉会長「サービス開発とPRは成長支える両輪」

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フリマアプリという、世になかったサービスを普及・定着させてきたメルカリ。成長の過程では、サービス開発と同等にPR戦略を重視してきた。

創業当初からPRに最大注力してきたメルカリ。それを率いた小泉会長は「むしろなぜ熱心にやらないの?という感じ」と話す(撮影:今井康一)

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11月14日発売の『週刊東洋経済』11月19日号では「氾濫するPR」を特集(アマゾンの予約・購入ページはこちら)。情報流通の新たな担い手となりつつあるPR会社・業界の分析や、失敗しない定番オウンドツールの活用術、そしてこれらと対照的に不振が極まるマスメディアの現在地などを追っている。
フリマアプリという、世になかったサービスを普及・定着させてきたメルカリ。成長の過程では「現金出品」や「転売ヤー」の問題など、消費者との丁寧なコミュニケーションが求められる場面も多く経験してきた。
直近ではイーロン・マスク氏に買収されたアメリカのツイッターについて、日本の広報メンバーが「全員解雇」されたという報道が飛び出している。収入を直接稼ぐ部門でないことから、広報担当は企業によってプレゼンスに差があるのも実情だ。
だが、メルカリで長くコーポレート部門を統括してきた小泉文明会長は、広報やPRをサービス開発と並ぶ「成長に向けた両輪の1つ」として重視している。

 

――サービス開始間もない頃から広報・PRに熱心でした。

週刊東洋経済 2022年11/19号[雑誌](氾濫するPR)
『週刊東洋経済 2022年11/19号 氾濫するPR』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら。電子版はこちら

むしろ「なぜ熱心にやらないの?」という感じだ。

ベンチャーを自動車の車体に例えると、左の車輪が商品やサービスだとしたら、右の車輪がPRやマーケティング。両方がなければ資金調達でガソリンを注いでも、車は前に進まない。いいサービスは世に知られて、使われて初めて意味を成す。

ベンチャーにおけるPRの目的は主に2つ。顧客を増やすことと、採用を増やすことだ。

どちらにおいても、モノやサービス、情報があふれすぎている中では「共感してもらえるストーリー」を届け、ファンを作れるかがカギになる。

――どんな手段が有効ですか。

1つはメディアリレーションの強化だ。ただ、メディア側の関心や掲載時期、取り上げ方はこちらでコントロールできない。そこでもう1つ重要になるのがオウンドコンテンツ。自分たちなりの言葉で、出したいタイミングで発信できれば、メディア掲載の補完的な役割を果たせる。

ただ、これはけっこう難易度が高い。会社のミッション、ビジョンなどがベースになければ表面的なコンテンツになってしまうし、かといってそれが前面に出すぎても読み手にはうっとうしい。経営者とPR担当者がキャッチボールをしながら、自社の最適解を探っていくことが重要だろう。

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