上場以来初の通期黒字化も、「結果的にそうなっただけ」と冷静に受け止める山田進太郎CEO。メルカリが次に目指す姿とは。

「メルカリショップス」を開発したのは、新規事業を担う子会社のソウゾウだ。写真左が同社の石川佑樹CEO、右が山田進太郎メルカリCEO(写真:メルカリ)
フリマアプリ国内最大手のメルカリが、2021年6月期決算で、上場後初めてとなる通期での黒字化を達成した。国内フリマアプリのアクティブユーザー数は6月末時点で1954万人と、2000万人の大台が目前に迫る。さらにスマートフォン決済の「メルペイ」は今年4月に利用者数が1000万人を突破した。
各サービスを順調に伸ばすメルカリだが、創業者の山田進太郎CEOは「まだ伸びしろがある」という。同社の今年4月の調査では、中高年世代を中心に潜在的な出品者が3600万人いると試算。友達をメルカリに招待するとポイントで還元するキャンペーンなどで新規ユーザーを取り込みつつ、既存のユーザーの購入頻度を上げたい考えだ。
さらに7月末には中小店舗やクリエーター向けにフリマではなく通販としての販売の場を提供する「メルカリショップス」を発表。この機能を開発したのが、新規事業を担う子会社のソウゾウ。同社はかつてシェアサイクル「メルチャリ」などを立ち上げたが、2019年にいったん清算し、今年1月に再び設立された経緯がある。
「ソウゾウ」復活で現れた意外な波及効果
――メルカリショップスは子会社のソウゾウが開発しました。ショップスはメルカリの新機能であるにもかかわらず、なぜメルカリ本体ではなくソウゾウが手掛けたのでしょうか。
ショップスはメルカリと密接なサービスではあるが、メルペイの加盟店向けのソリューションを作ろうというところから始まっており、(メルカリとメルペイ)両方の会社と等距離かつ密接にやりとりしている。在庫管理の機能など裏側の仕組みもイチから開発しており、まったく新しい独立したサービスだ。
人材採用の観点でも、別会社にして、新規事業をやっていくぞと社内外に宣言したほうがよかった面がある。
「ソウゾウ」という社名にしたのは、実は同社のCEO・石川(佑樹氏)から「もう一度会社を作るなら同じ名前を使いたい」と提案されたのがきっかけ。僕自身はまったく想定していなかったが、今考えるといいアイデアだった。
――どのような点がよかった?
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