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ネットメディアが「政権交代可能な野党」でない訳 石戸諭氏「ボールはむしろマスメディア側に」

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「ネットメディアは政権交代可能な野党ではない」。毎日新聞の記者からBuzzFeed Japanに転じ、現在はフリーで活動する石戸諭氏に聞いた。

「ニュースメディアというのは結局、人的リソースがものを言う」と話す石戸氏(撮影:尾形文繁)

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一時は「既存メディアに置き換わる存在となりうる」と目された、BuzzFeed(バズフィード)などの新興ネットメディア。しかし、その期待はすでに消えつつある。
11月14日発売の『週刊東洋経済』11月19日号では「氾濫するPR」を特集(アマゾンの購入ページはこちら)。情報流通の新たな担い手となりつつあるPR会社・業界の分析や、失敗しない定番オウンドツールの活用術、そしてこれらと対照的に不振が極まるマスメディアの現在地などを追っている。
2021年にアメリカでバズフィードとHuffPost(ハフポスト)の運営会社が統合するなど、再編も巻き起こっている。2021年度の売上高は約450億円(期末の為替レートで換算)だったが、日本経済新聞社の3529億円、ニューヨーク・タイムズ・カンパニーの約2380億円などと比べると、スケールはかなり小さい。
ネットメディアの浮沈をどう評価すればいいのか。毎日新聞からBuzzFeed Japanに転じ、現在はフリーのノンフィクションライターである石戸諭氏に聞いた。

メインストリームの代替ではなかった

――ネットメディア各社が2010年代に描いていた夢と、足元の姿には乖離があるように感じます。

週刊東洋経済 2022年11/19号[雑誌](氾濫するPR)
『週刊東洋経済 2022年11/19号 氾濫するPR』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら。電子版はこちら

「NewsPicks」のように、「いついつまでに世界一の経済メディアになる」と言っていたメディアもあった(編集注:2018年に「5年後、世界でもっとも影響力のある経済メディアになる」と発信)。みんな、すごく夢を見ていたわけです。

2010年代は「インターネットが旧来型メディアを飲み込んでいく」といった空気が、業界全体に流れていた。誰もが声を上げられるSNSが隆盛を極める中、「旧来型メディアとは違うんだ」という建付けの新興ネットメディアが台頭してきた。

でも、ニュースメディアというのは結局、人的リソースがものを言う。単純な話で、ほとんどのネットメディアが、週刊誌の一編集部と同程度の人数すらかけることができなかったということだ。

――バズフィードジャパン時代に、石戸さん自身も夢を見ていたと。

いや、別にそうでもないですよ。現実はこんなものかな、と。

新聞やテレビとは違う角度からのニュースの発信を目指していたが、それはあくまで(マスメディアという)メインストリームあってこそのオルタナティブであって、「ちょっと(脇道を)走らせてください」ということ。

僕は最初から「メインストリームに取って替わるわけないじゃん」と思っていた。そもそも、人数が違うんだから。ネットメディアはメインストリームを代替するものではないと、そろそろ再定義するべきだ。

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