自社のキャリアパスや報道姿勢に疑問を抱いた、彼らの決断とは。
2022年7月に行われたトヨタ自動車の「新型クラウン」発表会。質疑応答の場で軽快に司会をこなす人物がいた。元テレビ朝日アナウンサーの富川悠太氏だ。看板アナから一転、2022年4月にトヨタへ移籍した。
豊田章男社長肝煎りで始めたオウンドメディア「トヨタイムズ」を展開するトヨタは、ほかにも報道人材を獲得している。
報道での経験を生かし、一般企業でメディア対応などを行う“受け身”型の広報に転身する人物は昔から少なくなかった。ただここに来て、企業コンテンツを社会へと発信するPRキャリアを選ぶ報道出身者が続出している。
NHK記者からVCへ
11月14日発売の『週刊東洋経済』11月19日号では「氾濫するPR」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。情報流通の新たな担い手となりつつあるPR会社・業界の分析や、失敗しない定番オウンドツールの活用術、そしてこれらと対照的に不振が極まるマスメディアの現在地などを追っている。
Zホールディングス傘下のベンチャーキャピタル・Z Venture Capital(ZVC)で、2022年9月からコミュニティマネジャーを務める高橋翔吾氏もそんな一人だ。転身まで約10年、日本放送協会(NHK)の記者として活躍。東日本大震災の復興を報道し、福岡県で県政キャップも務めた。
「好奇心を満たす環境にいたい」。そう強く願いNHKに入局した高橋氏。記者生活は充実していたが、SNSや動画サイトが普及する中、社会がテレビ業界に求める役割の縮小を痛感していた。
またマスコミの場合、多くの記者は一定の経験を積むと現場から離れ、後輩の原稿を確認するデスクとなるのが慣例。現場で活躍し続けるキャリアパスは描きづらい。「自分の仕事がクローズドになっていく感覚で、このままでいいのかと悩んだ」(高橋氏)。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら