自社のキャリアパスや報道姿勢に疑問を抱いた、彼らの決断とは。
2022年7月に行われたトヨタ自動車の「新型クラウン」発表会。質疑応答の場で軽快に司会をこなす人物がいた。元テレビ朝日アナウンサーの富川悠太氏だ。看板アナから一転、2022年4月にトヨタへ移籍した。
豊田章男社長肝煎りで始めたオウンドメディア「トヨタイムズ」を展開するトヨタは、ほかにも報道人材を獲得している。
報道での経験を生かし、一般企業でメディア対応などを行う“受け身”型の広報に転身する人物は昔から少なくなかった。ただここに来て、企業コンテンツを社会へと発信するPRキャリアを選ぶ報道出身者が続出している。
NHK記者からVCへ
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Zホールディングス傘下のベンチャーキャピタル・Z Venture Capital(ZVC)で、2022年9月からコミュニティマネジャーを務める高橋翔吾氏もそんな一人だ。転身まで約10年、日本放送協会(NHK)の記者として活躍。東日本大震災の復興を報道し、福岡県で県政キャップも務めた。
「好奇心を満たす環境にいたい」。そう強く願いNHKに入局した高橋氏。記者生活は充実していたが、SNSや動画サイトが普及する中、社会がテレビ業界に求める役割の縮小を痛感していた。
またマスコミの場合、多くの記者は一定の経験を積むと現場から離れ、後輩の原稿を確認するデスクとなるのが慣例。現場で活躍し続けるキャリアパスは描きづらい。「自分の仕事がクローズドになっていく感覚で、このままでいいのかと悩んだ」(高橋氏)。
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