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「広報を軽視する経営者」が間違いなく残念な理由 ダイエー中内功に「刷り込まれた」会社の守り方

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ダイエーで中内功氏の秘書を務め、現在は化粧品メーカー・ファンケルの社長を務める島田和幸氏。中内氏から広報・PRの重要性を「刷り込まれてきた」という。

島田社長は広報はもちろんのこと、全社員に広報・PR感覚を求めている(撮影:大澤誠)

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イーロン・マスク氏に買収されたアメリカのツイッターについて、日本経済新聞は日本の広報メンバーが「全員解雇」されたと報じた。収入を直接稼ぐ部門でないことから、広報担当は企業によってプレゼンスに差があるのが実情だ。
ただ、かつてダイエーであの中内功氏の秘書を務め、現在は化粧品メーカー・ファンケルの社長を務める島田和幸氏は、中内氏から広報・PRの重要性を「刷り込まれてきた」という。その感覚を経営にどう落とし込んでいるのか。

「毎晩記者と飲み歩く広報」はもう古い

――1993年から8年間、中内氏の秘書をされていました。

私が秘書をやっていた間はダイエーの業績が右肩下がりで、広報もどちらかといえば守りのスタンスだった。ただ、業績がよかった頃から「最も世の中に開かれた部署であれ」という考えの下、広報をオフィスの1階にある受付のすぐ後ろに置いていた。

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――受付の後ろですか。

マスコミの人にどんどん来てもらおう、と。当時は小売りのトップ企業だったから、企業としての思想も含めて業界をリードするんだ、という自負があったのだろう。

――ファンケルで経営者となり、広報・PRの重要性について、中内氏からの影響は感じますか。

広報を大事に思うことに、何の疑問もない。ごく普通のことという感覚だ。(中内氏に)刷り込まれたのかもしれない。

過去のダイエーのような時流の最先端を切り開く大企業と違い、ファンケルは業界をリードする会社ではない。そんな会社を守り、成長させるうえで、世の中と丁寧にコミュニケーションを取ることは非常に重要だ。

――中内氏が重視したマスコミとの関係構築から、PRの定義は大きく広がりつつあります。

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