一時は「既存メディアと置き換わる存在になりうる」と目された新興ネットメディアだが、現状はそれに遠く及ばない。識者に課題を聞いた。
「ミレニアルフィルター」を意識した
――紙媒体からBusiness Insiderへ、そしてデジタルジャーナリスト育成へと、ネットメディア領域であらゆる挑戦をされていますね。
紙媒体で一生懸命工夫をして記事を出しても、政治や国際、経済、企業などの硬派なニュースを若い世代に届けることは非常に難しかった。そこにリーチできることが、ネットメディアに行きたかった大きな理由だ。
移籍後は本当にいろいろな試行錯誤をした。例えば、記事に『AERA』時代と同じような感覚で見出しをつけたら、20代の編集部員に「この言葉はまったく意味がわかりません」と言われる。若い人たちになじみのない熟語や故事成語もたくさんあるんだなと。単に内容を易しくするのではなく、“ミレニアルフィルター”を通して伝えることを重視してきた。
(ネットメディアなら)記事のどこで離脱したかデータで確認できるため、「ここがわかりにくかったな」と反省し、修正していけるのもネットメディアのいいところだ。
結果として、読者のおよそ3分の2以上を20~30代が占め、狙った読者を獲得することができた。経済メディアにもかかわらず、多い時は3割近い読者が女性で、ユニセックスな経済メディアも実現できた。
――一方で、新興ネットメディアが右肩上がりで成長している印象はありません。
どこもマネタイズに悩んでいる。
多くの広告クライアントが若い世代へのリーチに悩んでいたため、私たちの「ミレニアル世代の価値観を大事にしよう」という方針に共感し、創刊からほどなくしてナショナルブランドからスポンサード(記事広告)が入るようになった。収益の大きな支えとなり、それが増えることはうれしかった。一方で、スポンサードの制作には非常に手間がかかる。
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