ジェネリック医薬品(後発品)業界が、正念場に立たされている。
2021年に中堅メーカーの小林化工、そして最大手であった日医工で製造不正が明らかになったことを発端に、後発品業界では出荷調整などの混乱が続く。
日医工は不正の発覚を機に業績が悪化したことなどから、5月に私的整理を申請。11月14日には国内投資ファンドと医薬品卸大手から出資を受けて再建を進める方針が明らかになった。今後の再建計画によっては業界にさらなる影響を与えかねない。
2022年9月から厚生労働省が主催する「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(以下、検討会)では、後発品の安定供給に向けた課題も議論されている。ここでは国内最大手の沢井製薬が業界のデータを提供するなど積極的に関わっている。同社の澤井健造社長に聞いた。
誰が代わりに作るのか。想像するだけでも怖い
――かつて業界トップだった日医工が経営再建を図っています。
日医工は黒字化に向けた事業計画を作る必要があり、その中で不採算事業を切り捨てざるをえないだろう。だが、一部の薬の製造をやめた場合、誰がその分を作るのか。想像するだけで怖くなる。
日医工から代替生産の打診が来たが、同社が作って赤字のものは、僕らがつくっても赤字。製造原価が8割超えたら即赤字だが、日医工の決算発表などによると製造原価は90%を超えている。
ピークは過ぎたとはいえ、われわれ自身が(製造キャパシティが足りず)220品目ほど出荷制限をかけている。まずはこの出荷制限を解除する必要があり、よそ様の分をカバーする余力はない。
――厚労省が主催する検討会で、後発品業界は薬価引き上げなどを主張しています。後発品業界の混乱は薬価制度と関係があるのでしょうか。
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