後発薬メーカーが訴える「薬価制度の限界と変革」 サワイ会長「業界内では3分の1が赤字品目だ」

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昨年から続く薬不足。製造現場ではいったい何が起きているのか。業界大手のサワイグループHDの澤井会長を直撃した。

サワイグループホールディングスの澤井会長
サワイグループホールディングスの澤井光郎会長は「今までと違う環境作りが必要だ」と語る(撮影:今井康一)

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ジェネリック医薬品業界では、一部のメーカーによる製造不正に端を発する混乱が続く。
2021年に中堅メーカーの小林化工、そして最大手の一角である日医工でも製造不正が明らかになり、行政処分を受けた。他のメーカーに切り替え需要が増加するも、メーカーでは増産に時間を要し、供給が追いつかない事態となっている。
日医工は資金繰りが悪化し、2022年5月に私的整理を申請している。業界大手の沢井製薬にとっては最大のライバルが窮地に陥っているが、手放しで喜べる状況にはないようだ。
5月まで日本ジェネリック製薬協会の会長も務め、ジェネリック業界の一連の不祥事の対応にあたってきたサワイグループホールディングスの澤井光郎会長に、業界の今後について聞いた。

結局のところ困るのは患者さん

――ライバルだった日医工は私的整理(事業再生ADR)を申請中です。これはチャンスでしょうか。

倒れられたら、困る。困るんです。

われわれの得意先も、日医工の商品を使っている。そこから「日医工のものが足りないから、サワイで頼みますよ」と言われても、供給できないからお断りしないといけない。「せっかく注文しているのに、なんで持ってこないんだ」となる。結局のところ困るのは患者さん。安定供給はきちっとやってもらわないと。

今できる限り、土曜日も日曜日も、残業もして供給しているが、それでも足りない。これ以上のカバーは無理なんです。だから日医工のADRが成立するのかどうか、心配で心配でならない。

――サワイが救いの手を差し伸べることは難しいのですね。

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