「『当社のCSR活動について』みたいなタイトルの記事を出されているのを見ると、もったいないな……と思う」。そう語るnoteの生みの親に勘所を聞いた。
「はやりの街に店を出したい」企業が集まった
――「note」はかつてのブログと違った形の進化をしているように見えます。どのような思想で立ち上げたのですか。
アスキーやダイヤモンド社で編集者をしていたころは、ネットとどう付き合うかが真剣に問われ始めた時代だった。
ネットは安い原価で発信できて届けやすく、素晴らしいもの。電子書籍の中にもたくさん売れたものがあった。一方、出版社やクリエーターがプラットフォームの「店子」になってしまうとデータが得られず、マーケティングの手段が限られる。
ファイナンスも問題だ。ネットにおいて、創作だけで食べていけるエコシステムは確立されていなかった。そのため、ウェブで課金の編集コンテンツを提供する「cakes(ケイクス)」を始め(2022年8月に終了)、後に誰でも投稿できるようオープン化した「note」を始めた。
重視したのは、誰もが創作活動を始められて、続けられるようにすること。機能面はもちろんだが、創作支援のイベントなども行っており、エコシステム全体を作ろうとしている。文筆だけでなく、写真家もVRの達人も、ネット上で表現可能なものは何でもいい。
――企業のオウンドツールとしての利用も広がってきました。
個人クリエーターのような、ファイナンス面のお困りごとはあまりないかもしれないが、多くの人に見てもらえるプラットフォームになり、企業にもいわば「はやっている街にお店を出したい」という心理で注目・活用してもらえるようになった。
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