有料会員限定

ソフトバンクグループの税負担は本当に適正か 持ち株会社に二重課税するのは理にかなわない

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12
拡大
縮小

大手紙でソフトバンクグループの税負担の少なさが取り上げられた。かねて同社には似たような疑いがかけられてきたが、問題を1つ1つていねいに見る必要がある。

ソフトバンクグループの孫正義氏
ソフトバンクグループといえば、公認会計士や税理士なら誰もが注目する銘柄だ(撮影:尾形文繁)

特集「コンサル、弁護士、税理士」の他の記事を読む

今年8月20日付の日本経済新聞電子版に「ソフトバンクグループ(SBG)、繰り返す法人税ゼロ 税制見直し議論も」という記事が掲載された。ソフトバンクグループといえば投資家だけでなく、公認会計士や税理士も最も注目する企業である。

いわく、ソフトバンクグループは2007年3月期以降の15年間、法人税が生じたのは4期だけで、ほとんど税金を払っていない。合法ではあるが、税負担の軽さについて、現在の税制が妥当かなどの議論を呼ぶと指摘している。

この件では議論が混乱する要素が2つある。1つはソフトバンクグループという名称、もう1つは単体決算と連結決算の違いだ。

グループでは各事業会社が税を負担している

週刊東洋経済 2022年11/5号(「秀才たちの新ヒエラルキー コンサル 弁護士 税理士」。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。バックナンバー常備店はこちら

まずソフトバンクグループという名称について。「ソフトバンクグループ株式会社」は孫正義氏が会長兼社長を務める純粋持ち株会社である。持ち株会社は子会社の株を保有、管理・監督をする機能を持ち、収入は子会社からの配当や経営指導、受託料などになる。

世間が持つ「ソフトバンクグループ」のイメージは、持ち株会社、通信事業の「ソフトバンク株式会社」、ヤフーやLINEのサービスの「Zホールディングス株式会社」、ビジョンファンドなどを含む、グループ全体を指すことが多い。

この前提で、ソフトバンクグループがほとんど税金を支払っていないとなれば、それはおかしいとなる。が、21年3月期、22年3月期の連結キャッシュフロー計算書では、通信会社のソフトバンクだけで4000億円弱の法人所得税を支払ったと記載されている。

次ページ確かにSBGの単体決算で税金はわずか
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
コンサル、弁護士、税理士
今後必要なコンサルはデジタル×デザイン人材
なぜ商社や広告会社はコンサル業を欲しがるか
匿名座談会で判明、「自意識高い」高給取りたち
最難関学生が注目するコンサル会社ランキング
高報酬で渡り歩く、コンサルタントの「懐事情」
Webデザインやマーケなど100種類の人材が必要
べリーベストやアディーレ等新興勢は大量採用
コンプラ重視で法務部門を強化する企業が続出
中小事業主は大手との取引継続に不安抱える
コロナ禍で膨らむ給付金バブル、雇調金バブル
4倍超の価格、3年内の相続、あと危ないのは・・・
持ち株会社に二重課税するのは理にかなわない
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内