マーケティングの暴走憂う「神様」が説く最新理論 フィリップ・コトラーが提唱「人間中心」とは?
「産業革命」級の変化をデジタル化がもたらしたことは論を俟たない。コトラーらが区別して論じているのは単なるアナログのデジタルへの置き換え(デジタイゼーション)ではなく、デジタル化したデータやプロセスを用いてビジネスモデルを変え新しい価値創造を行うこと(デジタライゼーション)こそが重要であるということである。
このデジタライゼーションは企業内部と外部に分けることができ、それぞれで3段階(①データ処理の基盤構築、②情報通信の相互接続、③商品やサービスの相互接続)ある。
3つの意味でマーケティングを変えた
これらは経営のあらゆる側面に革命級の変化をもたらしているが、大きく3つの意味でマーケティングを変えたのだ。
それは、①価値提案が個人化したこと、②消費者をSoLoMo(ソーシャル、ローカル、モバイル)消費に変えたこと、③よりインタラクティブになり事業者とユーザーの関係性を変えたこと、である。ネットフリックスやアマゾンプライムビデオが単にテレビをデジタルに置き換えたのではなく、テレビ時代とは違う動画の消費を生み出したのが典型である。
デジタライゼーションがマーケティングの3つの柱の1つになるのは、自明だと思われる。ムーアの法則(半導体の集積度の進歩の法則)・ギルダーの法則(通信の帯域とスピードの進歩の法則)を見ても人類史上これほど急速な価格低下、あるいは性能向上したものはないのである。
これらが根源的・社会的変化の要因であり、より直接にはマーケティングのあらゆる側面においてのデジタル化がマーケティングのコントローラブル(打ち手の変数)を大きく変えているのである。
したがって、たとえ目的は同じでもマーケターの使う道具や考え方や行動原理は大きく変わりつつあるのだ。さらにこれからのマーケティングの変化はまだまだデジタル化を原動力とするものが中心になるであろう。
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