スタバとブルーボトル「メニュー表」に見る戦略差 何気なく接しているが企業の工夫が詰まっている
メリットは、「とにかくシンプルであること」や「デザイン要素が少ないので、陳腐になりにくいこと」など。
逆にデメリットは「お店の推しが伝わりにくいこと」「それがどんなものなのか、ビジュアルで伝えられないこと」「トッピングやサイドメニューの多い店には向かないこと」などがある。
テキストロール式のメニューは、最もシンプルでアナログライク、そして古風なスタイルだが、装飾を省いたゆえの高級感すら感じさせてくれることもある。
文字だけで綴ってもわかりにくいと思うので、例をあげよう。ブルーボトルコーヒーだ。
サードウエーブ系カフェとして人気のブルーボトルコーヒーは、コーヒーとストイックに向き合いながら、高級感のある雰囲気を楽しめるお店だ。
そのメニュー表は、シンプルなテキストロール式となっており、エスプレッソに始まり、アメリカーノ、マキアート、同チェーンのオリジナルドリンクであるジブラルタル……と続く。
メニュー表に写真や説明がないのは、お客さんとバリスタの会話があることが前提になっているからだろう。青いシャツを着たブルーボトルコーヒーのバリスタと、豆の焙煎やドリップ方法について語らってからゆっくりと飲むことで、忙しい日常ではなかなか気に留めなかった、微細な味わいをも感じられるようになるはず。嗜好性の高い楽しみ方を好むお客さんは、店員さんとのコミュニケーションも、食事の一部として楽しむだろう。
このテキストロール式メニュー表の他の店舗の例としては、チェーン店では丸の内OL御用達、NY直輸入のカフェ「DEAN & DELUCA」などが挙げられる。非チェーン店ではカウンターだけの江戸前寿司、高級なフランス料理店のメニュー表も、テキストロール式が多い。これも店員さんとのコミュニケーションが料理の一部となっており、ある種の信頼関係を築くことも食事の一部だからではないだろうか。
初めて入店したときは取っつきにくいかもしれないが、徐々にお店のことがわかり、お店との信頼関係が構築されていく。それが「テキストロール式」メニュー表の面白さだ。
メニュー表パターンその2「アルバム式」
スマホの画像アルバムのように多くのメニュー画像が掲載された、ビジュアル指向のメニュー表を、「アルバム式」と呼びたい。
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