逆境の鳥貴族、「やきとり大吉」買収の"凄い旨味" 店舗数は合計すると1000店以上になる計算

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コロナ禍が始まったばかりの2020年7月期の決算においては、当面、業績に大きな影響が出ることを踏まえ、生き残るための資金繰り維持のため、金融機関から65億円の借入金、別途40億円のコミットメントライン(借り入れ可能な枠)を準備し、大きな赤字が出ても存続可能な資金繰りを確保した。

ウィズコロナ期においては、新業態開発によるリスク分散と新独立制度の整備、社員モチベーションの向上を目指す時期にするとしていた。これが後に、新事業の「トリキバーガー」となり、新独立制度は社員独立による新たなFC組織へと展開する。この新たなFC組織こそ、鳥貴族のアフターコロナ戦略の軸となるものだった。

鳥貴族の新FC制度は、社員が独立して鳥貴族のFC加盟店となり、グループのインフラを活用しつつも、独立した経営者として巣立っていくという仕組みである。決算説明資料にそのイメージが載っている。テスト店舗では、12坪ちょっとのスペースに18席の小さい店を郊外住宅地に出し、鳥貴族「○○(独立した元社員の名前)家」と店舗ごとに名称を変えるという。

この独立制度店舗は2022年7月時点では3店舗、かつ小型店であるため、鳥貴族の業績にはあまり影響はない、というご指摘を受けそうだが、確かに業績には当面大きく表れてこないだろう。ただ、社員のモチベーションには大きな効果があるはずなのだ。

独立型FCは人手不足を乗りきる秘策か

外食業界における昔からの課題は、社員の定着率の低さだ。労働人口の減少が著しくなる今後、さらに人材確保は難しくなり、業界にとっての死活問題となることは明らかである。特に深夜まで営業する居酒屋業態は厳しい労働環境であるため、将来的なキャリア形成ができないとなれば、そこで働きたい人は当然限られてくる。

しかし、バイト⇒正社員⇒店長⇒加盟店経営者というキャリアアップの道が用意されているとすれば話は変わってくる。いつか、外食店経営者になれるというゴールが見え、昔からの「のれん分け」のように支援が得られるならば定着率が向上する可能性がある。実際にそうした社員独立制度としてのFC加盟店の活用を行う、「餃子の王将」や「カレーハウスCoCo壱番屋」などは、社員の定着率がかなり改善されたことで知られている。

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