逆境の鳥貴族、「やきとり大吉」買収の"凄い旨味" 店舗数は合計すると1000店以上になる計算
コロナ禍という逆境のなか新独立制度を準備したことも、鳥貴族の経営目線が先を見ていることの表れでもある。記事冒頭で紹介した図表は居酒屋の逆境を示しているものの、その店舗数からは別の見方もできるのだ。厳しい時期が3年近くも続いたため、居酒屋の店舗数は4分の3に減少しているが、これは居抜きで店舗が手に入りやすいということでもある。
また居酒屋業態の売り上げが、コロナ前の8割以上の水準に戻る日が来れば、競争環境も以前より緩和されている、という考え方もできる。社員のモチベーション向上を実現しつつ、一旦縮小したマーケットの回復に合わせて取りに行く、という鳥貴族の構想は先を見据えたうえでの戦略だろう。
大吉の不思議な縁が鳥貴族に幸運をもたらすのか
そんな方向性で進もうとする鳥貴族にとって、今回の大吉のグループ取り込みは願ってもないアライアンスになったと考えられる。歴史ある大吉の500店舗以上の加盟店の中には事業承継問題を抱えた事業体があるはずだし、将来的には必ず発生することになる。しかし、「自分の店を持ちたい」という社員の声に応える鳥貴族であれば、グループ内で承継問題を解決し、組織を維持発展させることが可能なのである。
日経MJ「HISTORY~暮らしを変えた立役者」に、鳥貴族の大倉忠司社長による「『やきとり大吉』運命の出会い」という回があった。やきとり大吉の加盟店店主の接客、話術に感服し、それが焼鳥との出会いだった、その店主が後に鳥貴族を展開していくうえでの恩人のような方だった、といった内容を語っている。
鳥貴族創業の遠因となったやきとり大吉との出会い、そして、大吉をグループに取り込むことで新たな成長の礎となることを考えれば、まさに不思議な縁と言わざるをえない。鳥貴族の不思議な縁の5年後がどうなっているか、ぜひ見てみたいと思わせてくれる。
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