逆境の鳥貴族、「やきとり大吉」買収の"凄い旨味" 店舗数は合計すると1000店以上になる計算

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加盟店募集のサイト情報によれば、加盟店は520店舗ほどあり、そのモデル収支は月商150~200万円(≒年商1800~2400万円)となっている。ということは、チェーン全体での商流規模は100億円ほどある計算になり、年商202億円、店舗数622店舗(2021年度)の鳥貴族からすると、かなりインパクトのある商流を手に入れたということがわかるだろう。

それだけではなく、このM&Aは大吉、サントリー、鳥貴族の「三方よし」となるうまい組み合わせでもある。

コロナ禍で苦しむ大吉にとって、焼鳥チェーン最大手の鳥貴族は、調達面からも最強の同盟軍となる。サントリーは弱体化しつつある大吉加盟店を、サントリーの出資先(約2%)でもある鳥貴族(当然、飲料供給先でもある)が支えてくれるうえに、供給先として維持される。鳥貴族は店舗数をほぼ倍増させて(大吉ブランドは継続)、居酒屋でのトップシェアを確立する、というもので、皆がハッピーになるいい案件なのである。

ただ、前述の通り、極めて厳しい状況にある居酒屋業態に入れ込む鳥貴族の勝算はどんなものなのだろう。

いまだ逆境の居酒屋を拡大する鳥貴族の勝算は

鳥貴族は、居酒屋業態がほとんどのためコロナ禍が直撃、ピーク時は350億円あった売り上げは57%にまで減少している。経常利益も2020年度は赤字、2021年度はV字回復のように見えるが、これは時短協力金があってのこと。本業の儲けを示す営業利益は24億円程度の赤字での着地となっている。この会社も実際は「病み上がり状態」であり、けっして余裕があるという状況にはない。

ただ、コロナ禍が落ち着く前から、戦略はつねにコロナ後を見据えていた。ざっくり言えば、数年の事業存続性を確保して、コロナ後の残存者利益を取りにいくという考え方だ。

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