認知症独居高齢者のコロナ罹患「訪問介護」の難題 ヘルパーの撤退続発、訪問看護へ円滑移行できるか

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コロナ陽性の診断を得るために受ける初診へのアプローチや、軽症から中等症の自宅療養者への訪問看護導入における調整の難しさ、コロナ陽性で入院となった患者が、隔離期間を経て在宅復帰する際などにも課題がある。床上生活は身体機能を低下させてしまうため、対策として、最小限の安静と早期のリハビリテーションが必要だ。

一方で、感染拡大を予防するためには、長期間の隔離が望ましい。感染性のウイルスは、10日を過ぎても3.6%の人に検出される。感染性のウイルスが排出されなくなるまでの平均期間は、デルタ株4日、オミクロン株5日であり、アメリカやイギリスの隔離期間は5日まで短縮された。高齢者の身体の不活動状態により生ずる2次的障害である廃用症候群予防を考えると、妥当とも言える。

コロナ禍の初期は、ウイルスの毒性も強く、国家の防疫を目的とした一律の隔離が有効であった。しかし、現在、コロナウイルスは弱毒化し、致死率もインフルエンザと同様の0.1%まで低下したため、一律の隔離がもたらす弊害のほうが大きくなった。

感染拡大を最小限に抑えるために

高齢者の廃用症候群を予防するためには、隔離期間を一律にせず、医師と患者との間で、個別のケースごとの検討が求められる。医療従事者と同様に、抗原検査の陰性確認による隔離解除を検討するといいだろう。医療従事者の隔離期間は、抗原検査の陰性確認あるいは、症状軽快後72時間に短縮されているが、特に問題は起こっていない。

さらに、7日間毎日抗原検査を実施して陰性が確認された場合に24時間隔離を免除する方法が、10日間の隔離に劣っていないことが明らかになった。この方法であれば、感染拡大も最小限に抑えられる。

入院者や高齢者施設入所者は、従来と同じ隔離期間の10日間に据え置かれているが、回復の早い人については、検査結果による隔離期間の短縮と、早期のリハビリテーションの導入がいいと私は考える。他方、自宅療養者は、集団感染のリスクも低く、早期の隔離解除を検討しやすいだろう。

坂本 諒 看護師・保健師

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さかもと りょう / Ryo Sakamoto

2019年11月より訪問看護のビジナ代表。現在、東京・札幌・大阪で運営している。経営の傍らで、医療ガバナンス研究所研究員として論文執筆もしている。

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