ソウル雑踏事故で多数、「圧死」から命を守れるか 法医学の医師に聞くメカニズムと救命法

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30日、雑踏事故の起きたソウル・梨泰院の現場を視察する尹錫悦大統領 © 2022 Bloomberg Finance LP

「今回、タレントさんのような有名な方が来られたと報じられていますが、われ先にという心理が働いて人を押しのけていこうとした、そうしたことが転倒につながったのではないか」

また、逃げ場がない状態も群衆による圧死を起こすリスクが高いという。

「日本では明石の事故後、イベントなどで群衆が発生する場合の警備に関しては、かなり慎重になっているので、ここまで大きな事故は起こりにくくなっていると考えています。ただ、身長が低く、またろっ骨などの骨が強くない、例えば大人より子ども、男性より女性のほうが転倒して上に乗られたときに圧死するリスクが高い。注意が必要です」

事実、ソウル新聞によると、「被害者の多くが10~20代であり、性別では男性54人、女性97人」とソウル・龍山消防署のチェ・ソンボム署長が発表しており、女性の死亡者が男性の2倍近く多い(関連記事)。

危ないと思ったら、何かにつかまること

では、こうした事故から命を守るために、どう気をつければいいのだろうか。

「まず、危ないと思ったら、何かにつかまることです。それで転倒することは防げます」

実は、これは満員電車でもいえることだ。やはり満員電車も圧死による事故が起こってもおかしくない場所のひとつだ。特に駅に到着して人が乗り降りするとき、急ブレーキがかかったときにリスクがある。

今、多くの人はスマホに夢中で吊り輪につかまっていないが、できればしっかり持ってほしい、と一杉さんは警鐘を鳴らす。

それでも転倒してしまったら、どう身を守ればいいのか。

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