コンサルは我が世の春!なぜこんなにモテるのか 独走アクセンチュア、精鋭のマッキンゼーやBCG
ちなみに最近ではメドレーやプログリットなど、ある戦略系コンサル出身の社長(元社長)が民放キー局の女性アナウンサーと相次ぎ結婚した、と騒がれて久しい。かつてはプロ野球選手、少し前なら外資系投資銀行などで同様の例はあったが、今やコンサル、コンサル出身のIT企業が人気業種にのし上がったことがわかる。
もっとも、IT分野の業務が増えるにつれて、コンサルに要求される役割も確実に変容している。ある戦略系コンサルの幹部は「これだけ変化のスピードが激しい今、戦略の“賞味期限”は短くなっている」と自らの状況を冷静に語る。
特にDX(デジタルトランスフォーメーション)が必須となった現在、欠かせないキーワードが「デジタル」である。戦略系2社はマッキンゼー・デジタル、デジタルBCGという専門組織をそれぞれ発足。ビッグ4の最大手であるデロイト トーマツもデジタルの実行部隊を抱えるようになった。
1つのプロジェクトが何百人単位になると、どんどん人が足りなくなってくる。コンサルの報酬は「1人当たりの単価」×「人数」×「期間」。多くの人員が長期間貼りついているほど、コンサル会社は儲かる仕組みだ。
ただし、各社が採用に血眼になる中でも、実はほしい人材は変容しつつある。「デジタル」に続く、もう1つのキーワードは、ズバリ「デザイン」である。
ほしいのは美大生、芸大生のセンス
2015年、就任して間もないアクセンチュア日本法人の江川昌史社長は、美術系大学3校を訪問。理事長たちと話し合う中、「日本は人材の無駄遣いをしている」と痛感した。美術系の大学生は一般に就職が難しく、デザインに強い人材が企業に集まりづらいからだ。
「デザインのセンスが超重要だ。アップルの製品1つとっても、デザイン次第で成功確率が違う」。
そう江川社長が確信したとおり、アクセンチュアに翌年から、美術系の学生がコンスタントに入社するようになった。年300人程度の新卒を採用するアクセンチュアだが、もはや求めているのは偏差値の高い秀才ばかりではない。
事業会社が製品を開発するにあたっては、今やUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)が欠かせない要素。デザインを通じた顧客との接点、サービスで得られる顧客体験を、コンサル自身が直感で頭に描けなくてはならない。
「必要なのは理屈でなく、アイデアや美意識。世の中をとらえるセンスだ」と関巌・リブコンサルティング代表取締役は分析する。
かつてコンサル会社と言えば、机上で戦略を練るコンサルタントが主たる構成員だった。しかし現状ではデジタル人材に加え、UI/UXデザイナーやサービスデザイナー、デジタルリサーチャーなど、そこにデザインの人材が加わっている。そうしてクライアントと協業し、現場で事業を作り込んでいる。プレゼンにおいても、従来のパワーポイントだけでなく、デザイナーとともに動画などを駆使する場面が増えている。
デザイン系コンサルの大手への傘下入りも活発だ。マッキンゼーはLUNAR、デロイト トーマツはHeat、アクセンチュアがFjord(フィヨルド)を買収。ちなみに広告代理店2トップの電通はフロッグデザインを、博報堂はアイディオと組んでおり、広告会社とコンサル会社の接近も見逃せない。専門特化で光るデザインファームの価値は明らかに上がった。
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