「AI契約チェックは違法の疑い」の衝撃的な中身 法務省判断は急成長のリーガルテックに激震

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グレーゾーン解消制度を使って法務省からAI契約レビューサービスが弁護士法72条に抵触するかどうかの見解が示された (編集部撮影)

法律関連の煩雑な業務をITやAIを使って効率化を図る「リーガルテック」が注目されている。スタートアップ企業を中心にそうしたサービスを提供する事業会社も増えている。

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リーガルテックの中でも、契約書の内容について、AIが条文の抜け落ちがないかどうかなどを自動的にチェックするAI契約レビューサービスは近年需要が急増。LegalForce(リーガルフォース)、GVA TECH(ジーヴァテック)、FRAIM(フレイム)、リセ、LawFlow(ロ―フロー)など、同サービスを提供する事業者が急成長を遂げている。

しかし、そうしたAI契約レビューサービスに暗雲が立ちこめている。10月14日に法務省が、AI契約レビューサービスについて「違法の可能性がある」と、“再び”グレー判定を出したのだ。

AI契約レビューサービスは非弁行為?

今回公表されたのは、グレーゾーン解消制度を使って、弁護士向け営業支援や一般会員向け法律相談のポータルサイトを運営する弁護士ドットコムがかけた照会に対する回答である。照会テーマは、同社が参入を企図しているAI契約レビューサービスに関する自社の事業計画が、非弁行為(弁護士以外の者が報酬目的で弁護士のみに認められている業務をすること)を禁じる「弁護士法72条」に抵触するかどうかだ。

グレーゾーン解消制度は、産業競争力強化法に基づき、新たな事業を開始しようとしている事業者が、具体的な事業計画を示すことで、その事業計画が現行の規制の適用を受けるかどうかをあらかじめ関係省庁に確認できる制度だ。回答結果を関係省庁が公表するには照会者の承諾を要するが、今回、申請をした弁護士ドットコムが公表を承諾した。

「再び」としているのは、実は、今年6月6日にも、弁護士ドットコムとは別の事業者が申請したAI契約レビューサービスに関する照会に対し、法務省は事実上クロに近いグレー判定を下しているからだ。

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