「AI契約チェックは違法の疑い」の衝撃的な中身 法務省判断は急成長のリーガルテックに激震

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①-1は利用者が自分の立場を選択したうえで、レビューしたい契約書案をAIに読み込ませると、あらかじめ用意されたレビュー方針との違いを洗い出し、利用者の立場に応じたリスクの有無を判定し、その解説や修正事例まで表示するサービスだ。

①-2は①-1の機能のうち、あらかじめ用意されたレビュー方針と違う点を、違うという事実だけ表示する。

②-1は比較する対象が、サービス提供者が作ったレビュー方針ではなく、利用者が過去に作成している自社ひな型。チェックする基準(洗い出す相違ポイント)も利用者の自社ひな形を参考に、それに基づいてリスクの有無の判定と解説を表示する。

最後の②-2は②-1のうちリスクの有無も判定しないし、解説も表示されず、単純に過去に利用者が作った自社ひな形との違いを字面だけで抽出して表示する。

リスク判定や解説付きに「鑑定」の判定

4つのパターンのうち、鑑定にあたらないとの判断が出たのは②-2のみ。リスク判定や解説が付くとアウトという見解になっている。①-2はリスク判定も解説も付かないが、違うという事実の指摘が法的効果を前提とした行為であり、鑑定に当たることからクロ判定とされた。

付帯条件を加味して判断した場合、いずれも弁護士や弁護士法人に提供する分には、弁護士が依頼人に法的サービスを提供する際に使う補助的ツールという位置づけになるのでシロになるが、企業などに提供する場合は、社内弁護士の監督下であってもアウトとなる。

無償提供する場合も法務省の回答文書を読むとアウトという印象だが、弁護士ドットコムの元榮太一郎代表は、「これは無償といいながら実は有償のサービスと事実上抱き合わせというケースを想定した回答であって、たとえば無償提供をする際に利用者にメールアドレスを登録させ、当社の別のサービスの告知に使うといったような、もう少し具体的に無償のあり方を特定すれば、シロ判定を勝ち取れるという感触を得ている」と話す。表中では△とした。

元榮代表は、「今回の照会によって、ある程度違法とならない線は探り当てることができた。AI契約レビュー業務参入は、今回シロ判定が出た弁護士への提供もしくは無償提供から開始する方向で準備を始めたい」という。

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