「AI契約チェックは違法の疑い」の衝撃的な中身 法務省判断は急成長のリーガルテックに激震

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

サービスの提供に必要なソフトウェア開発には多額の資金を必要とするため、出資の受け入れも配当も自由にできる株式会社の形態をとらざるをえない。

それでもサービス事業者は、「自社のサービスは72条には抵触しない」と考えている。72条違反の可能性を指摘する弁護士との見解の違いは、サービスが④の「鑑定」に該当するかどうかにある。

弁護士ドットコムは、主力のクラウドサイン事業を核に、契約管理、作成、レビューといった契約に係る一連の業務の支援ツールを、一気通貫で提供する体制の確立を計画している。AI契約レビューサービスへの参入もその一環だ。このため、どういう形で提供すれば72条違反にならないのかを確認するため、照会をかけた。

詳細な照会をした弁護士ドットコム

6月6日に実質クロ判定が出た別の事業者が申請した照会案件は、契約書案をAIに読み込ませるだけで、利用者の立場に立って、法的観点から有利か不利かだけでなく、法的なリスクを指摘し、検討すべき事項についても判断するという、今の技術レベルでは実現不可能な、夢のようなサービスとなっていた。サービスの提供方法についても具体性を欠く、ひどく漠然としたものだった。

このため「こんな照会のかけ方をしたらクロ判定が出るのは当然」という声が、既存サービスを提供する事業者からだけでなく、既存サービスを問題視する弁護士からも出た。

弁護士ドットコムでは、72条に抵触しないラインを探り当てることを目的に、より具体的に想定しうる4通りのサービス提供方法を用意した。

その4通りの提供方法のいずれかもしくはすべてが違法と判定された場合に備え、別途4つの付帯条件を用意し、その組み合わせそれぞれについて照会をかけた。基本パターンに4✕4=16通りの付帯条件付きを加えた、その合計20通りの照会内容と結果が下の表だ。

表中の✕印は、法務省の文言は「違反の可能性がある」「可能性がないとはいえない」という微妙な表現がとられているが、シロだとは言っていないのでクロ判定として掲載した。

次ページ各項目のサービスの違い
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事