円安は本当に株式相場の追い風か。円安は日本の輸出産業の収益を改善させる半面、海外投資家からは資産の目減りにつながる要因にもなる。市場では、急激な円安が止まれば日本の相対的なファンダメンタルズが見直されやすくなると、むしろ円の下げ止まりを望む声が出始めてきた。
日本銀行は28日まで開催する金融政策決定会合で現状の政策を維持する見通し。政府・日銀による円買い介入後も進行する円安や、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の市場機能への影響に関する見解が注目されるが、ピクテ・ジャパンの松元浩運用・商品本部シニア・フェローは「介入後も円安の大本の金利差要因が変わらない限り、円安になってしまう」とみる。
日銀会合注目点:経済・物価シナリオ、円安・市場機能の見解注視
ピクテの松元氏は、ある程度の円安は業績のプラス要因とみていいと前置きしながらも、「歯止めなく円安が進むとキャピタルアウト(資本流出)の発想も出てくる。今は政府が望まない範囲まで円安が進んでマイナス面が上回っているように感じる」と指摘する。
海外勢からみた日本株の価値は目減りしている。今月の外国為替市場で円相場は対ドルで32年ぶりとなる151円台を一時付け、2月末の115円から3割も円安に水準を切り下げた。この間に日本株の水準が変わらなかったとしても、ドルで運用している海外投資家にとれば為替面だけで3割超下落した計算になる。