日本株の援軍になれない今回のやっかいな円安 市場では円の下げ止まりを望む声も出始める
為替損失受ける海外勢は日本株を買わない
ドル建て日経平均株価の右肩下がりは、海外マネーの流出が止まらないのが背景だ。日本株売買の7割を占める外国人投資家はことしに入り、ほぼ一貫して日本株の現物を売り越している。東京証券取引所によると、外国人は2市場の月間ベースで9月までのうち計7カ月間で売り越しとなった。9月の売越額は8285億円と高水準だ。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、円安が続いている間は海外勢が為替面で損失を受けることから、「日本株を本格的に買わないだろう」と話す。
プリンシパル・グローバル・インベスターズの板垣均社長も「過度な円安は日本株にプラスではない」との立場だ。日本は原子力発電所が停止していることでエネルギーを石油・ガス・石炭に頼っているとして、「製造コスト自体が上がっている。いかに人件費を抑えても、モノを作るためのお金は上がっている」と語る。
もっとも、国内経済には底堅さもある。国際通貨基金(IMF)が今月まとめた世界経済見通しでは、米国のことしの成長率は1.6%、23年は1%の見込み。日本は1.7%、1.6%とそれぞれ米国を上回る見通しだ。
いちよしアセットの秋野氏は、円安の勢いに歯止めがかかるなら、「海外勢にとっては来年にかけて相対的に米国などと比べファンダメンタルズが堅調な日本株を買うチャンスになる」と、海外勢による日本株買いの再来を予想する。
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著者:長谷川敏郎
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