福島県で被曝が原因で亡くなった人はいないから、死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因と言っていい。これこそが、福島第一原発事故の教訓だ。
このことは、原発事故直後に東京大学の大学院生として被災地に飛び込み、現在も活動を続けている坪倉正治氏(現福島県立医科大学教授)らが200報を超える英文論文として発表し、国際原子力機関(IAEA)などでも、坪倉教授を中心として被曝対策の見直しが進んでいる。
なぜ、この教訓が、わが国のコロナ対策で活かされなかったのか。百歩譲って、なぜ、3月の『ランセット』や『ネイチャー』の論文・記事が反映されなかったのか。
日本のコロナ対策は科学的に合理的でない
これこそ、わが国のコロナ対策の宿痾を象徴している。科学的に合理的でないのだ。もし、3月の段階で、高齢者の自粛を方向転換していれば、その後の超過死亡は、ある程度予防できていたはずだ。コロナ対策見直しの好機を逸してしまった。
なぜ、こうなるのか。厚労省や周囲の専門家が、国民の命より、コロナ感染者数に関心があるのかもしれないし、彼らが実力不足で、世界的な議論をフォローアップできないだけかもしれない。さらに、メディアも、彼らの主張をそのまま報じる。世界レベルの議論についていける記者が少ないのだろう。
わが国のコロナ対策は、現状のまま、予算を増やし、司令塔を強化しても迷走をつづけるだろう。なぜ、世界の一流科学誌・医学誌に発表された研究成果を「無視」するのか、その原因を分析し、適切に体制を整備しなければならない。第8波は、すぐそこまできている。体制刷新は待ったなしだ。
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