国一括ではなく自治体ベースの割り当てであったことに加え、トクする権利の行使、「自分だけは損したくない」感情、都民の「今度こそは」…そんな“損得感情”の竜巻が10月11日めがけて押し寄せ、支援枠の早期終了をもたらしたと思えてならない。
お金の使い方として、本末転倒感はないか
あまりに早く受付終了した自治体が多かったため、利用できない人の不満も残るはずだ。国費を使った施策なのに、なぜ自分は使えないのだ。旅行に行く余裕などないのに、不公平だという声も上がるかもしれない。
もともと全国旅行支援とは、全国民向け割引サービスではなく、12月20日までという年末の慌ただしい時期までに、しかも平日に休みが取れるような時間とお金の余裕がある人にじゃんじゃん旅行してほしいというものだ。
広く平等に旅行してもらうのもいいが、お金持ちに豪華な旅行をしてもらうほうが観光業だってありがたい。すでに完売・受付終了になったということは、支援する側の目的はある程度は果たされたのだろう。
節約記事でいつも書いていることだが、割引には「いい割引」と「悪い割引」と思う。悪い割引とは、安くなることを目的にした消費のことだ。安くなるなら買う、安くなるなら旅行に行く、というように消費の動機が「割引」になってしまうと、お金の使い方としては本末転倒だ。
しかも、支援分の5000円や8000円がそのまま上乗せされた、いわゆる便乗値上げの例も散見されるという。支援が始まらなければ、その値上げはなかったとすれば、もはや「割引」ですらない。二重の意味で「悪い割引」だろう。
もともと旅行に行く予定があったので、そこに割引を使う。それが、いい割引の使い方だ。今回、旅行支援が使えなかったという人も、旅行のチャンスは失ったかもしれないが、「悪い割引」で、ムダにお金を使わずに済んだのだと思えばどうか。自分の代わりに観光地にお金を落としてきてくれる人を横目に、日々の食卓を充実させるのも有意義なお金の使い方ではないだろうか。
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