「時間をマネジメントする」が根本的に無理
時間術について誰もが間違う真実の最後は、「時間をマネジメントする」という発想の根本に無理がある、です。
そもそも、大半の時間術は時間の使い方とは関係がないということから説明しましょう。なにやら禅問答のようですが、奇をてらったわけではありません。世の中で使われるあらゆるタイムマネジメント法は、実際には時間の使い方とはほぼ関係がないのです。
ただし、そう言われて、すぐ飲み込める人はいないでしょう。私たちがカレンダーに予定を書き込むのは、その日の時間の使い方を確かめるためですし、タスクの優先順位をつけるのも、時間をうまく配分するのが主な目的のはずです。
それでは、時間術は時間の使い方とは関係がない事実を理解するために、まずは「一部にだけ時間術が効く人がいるのはなぜか?」という疑問について考えてみましょう。
「時間管理を徹底する人が評価されないという悲哀」(10月23日配信)で取り上げた、時間術のメタ分析をご記憶でしょうか? この分析結果は、どの研究においても、少数ながら時間術が効果を発揮した人がいる事実を示していました。要するに、大半の人間が効果を得られない中で、時間術によってパフォーマンスが上がる人が必ず一定数だけ存在するわけです。このような効果の差は、なぜ起きるのでしょうか?
その答えを探るために、「アイゼンハワー・マトリクス」について考えてみましょう。これは元アメリカ大統領のドワイト・アイゼンハワーが愛用した時間術で、タスクを「緊急度」と「重要度」に分け、そのうえで「借金返済」のように緊急度と重要度が高いものからこなすのが特徴です。
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