無駄の排除と効率の追求はいまも重要なテーマ
「分業によって作業の効率を高めれば、生産性は飛躍的に向上する」
近代経済学の父アダム・スミスが、『国富論』で効率化の重要性を訴えたのは1776年のことです。産業革命の本質は新しい技術の誕生にあるのではなく、無駄の削減とプロセスの改善による効率化の追求こそが重要なのだとスミスは喝破しました。
同じ考え方は、経営学者のフレデリック・テイラーやW・エドワーズ・デミングに引き継がれ、「効率の追求こそが美徳である」との思想に結実。彼らの働きによってタイムマネジメントは科学となり、「少ない時間でいかに作業の量を増やせるか?」は先進国の原理原則になりました。これは現代でも変わらず、無駄の排除と効率の追求は、いまも世界中のビジネススクールにおける主要なテーマです。
もちろん、私たちにとって時間が希少なリソースなのは間違いなく、効率を追求する作業は、経営者だけでなくあらゆる人に必要でしょう。ヘンリー・フォードが世界初の組み立てラインを導入したことで工場の生産量を倍増させた事例はあまりに有名ですし、効率の追求によって産業革命が花開いたのも事実です。
しかし、その一方では、効率の重視によって逆に仕事の成果が下がってしまうケースも多いことが、ここ十数年の研究でわかってきました。その理由は、大きく2つあります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら