芸術と映画で賑わう「京都」観光客復活への想い 寺院や美術館が会場「京都国際映画祭」が開催

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観客は病室を模した会場のベッドに横になり、VRゴーグルを装着してその世界観を堪能した。愛知県から旅行で来た19歳の女子大学生は、アートが好きで立ち寄った美術館で行われていたVR作品に興味を持って鑑賞。「演劇のようで現代アートとしてのメッセージ性を感じました。気持ち悪さと面白さのちょうど間をいく感じで、最後の展開まで印象的でした」と気鋭のアートを楽しめた様子だった。

アートカテゴリーの目玉企画のひとつになったのが、狂言のワークショップだ。狂言師の野村太一郎氏と芸人のすゑひろがりずが会場となった立誠のTHE GATE HOTEL自彊室の舞台に立った。

「狂言ワークショップ」で狂言師の野村太一郎(中央)から観客と一緒に所作を教わる芸人・すゑひろがりず(左)(写真:吉本興業提供)

トークセッションでは、野村氏から狂言の歴史や、歌舞伎と能の違いが初心者にもわかりやすく解説されたほか、すゑひろがりずと、室町時代に生まれた庶民の娯楽と言われる喜劇(狂言)と現代の漫才やコントとの親和性や共通点が語り合われた。

若い世代でにぎわった狂言ワークショップ

その後のワークショップでは、吉本新喜劇でおなじみのシーンを野村氏が狂言の振る舞いで再現し、会場中を笑いの渦に巻き込んだ。擬音語や擬態語の発声から、笑いや泣きなど喜怒哀楽の感情表現や驚きの所作などのレッスンもあり、野村氏の指導のもと、すゑひろがりずが四苦八苦しながら見本になり、観客と一緒に練習した。

会場には若い世代の女性が目立っていたが、すゑひろがりずのファンで大阪から本イベントのために来たという2人組の20代会社員女性は、なかなか見る機会のない漫才と狂言のコラボに「大笑いしました。狂言の所作や表現手法を知ることができて、機会があれば本物も見てみたいと思いました」と語った。お笑い好きの若い世代が伝統文化へ関心を持つきっかけになっていることがうかがえた。

社会問題の解決も本映画祭の重要なテーマだ。イベント部門では今年も「SDGs LIVE」がよしもと祇園花月で開催された。エルフやオズワルド、ニッポンの社長、天才ピアニストら東西の人気芸人8組が集結する劇場前には、開場前からお笑いファンの若者たちが長い行列を作った。

満席となった劇場では、出演芸人たちがSDGsが掲げるテーマをネタに組み込み、いかに楽しく、わかりやすく伝えるかを競う「SDGs-1グランプリ」が行われた。

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