和田秀樹「高齢者はお金に過度な心配が不要な訳」 人生に潤いを与えるようにお金を使っていく
やりたいことをやりましょう。このように提案すると「お金が……」と反応されてしまうことがたびたびあります。高齢になると、少なくない人がお金の心配をするようになります。それは当然のことです。稼ぎがなければ、お金が減っていく不安にストレスを強く感じるものだからです。
ただ、お金にまつわる不安はあるけれど、それでも預金や持ち家などある程度の財産はもっているというのが、現代日本社会の多くの高齢者の現実ではないでしょうか。将来はわかりませんが、今の日本の高齢者は臨終を迎えたとき、思ったよりも多くの財産を残す人が多いと思います。
なかには年金が少ないという人もいると思いますが、今の高齢者の持ち家率は高く、その家を売却すれば、老人ホームに入居してそこで暮らし続けることができます。仮に老人ホームに入居して、年金でまかなえない分が月5万円になる場合でも、家を売却して得たお金と老人ホームの入居資金の差額が1000万円(首都圏や京阪神ならもっと多い人が少なくないでしょう)とすると、およそ200カ月間は穴埋めすることができます。
お金の心配を必要以上にしない
お金は必要な分だけあればいいのです。それこそ認知症になって重度の症状になると、お金を使うことができなくなります。認知症を患っていても入居できる施設もあります。そこに入れば、出費はほぼ施設に払うお金だけです。家を売却したお金が底をついても、年金がありますし、年金が生活保護の基準額より少なければ、生活保護を申請すれば適用されることが多いでしょう。
必要以上にお金の心配をする意味はありません。家族に多くのお金や財産を残したいと思っているなら話は別ですが、そうでなければ〝今〟の自分のために使ってもいいのではないかと思います。自分が機嫌よく生きられれば、周りの人も楽しい気持ちになりますし、応援してくれるようになるはずです。
他人のお金ではなく、自分のお金を使うのであれば、それは本来誰からも口出しされるものではありません。もちろん、無計画に使えば家計は破綻しますが、投資など巨額の金を使わなければ意外にそういうことは起こりません。お金の心配をあまりしないようにうまく段取りして、自分が少しでも自由に行動できるように使いましょう。そして自分らしく意欲的に生きてみましょう。
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