ボディサイズは、全長4805mm×全幅1865mm×全高1490mmで、2代目C5のセダンとほぼ同じ。全長が4500mmにとどまっていたC5エアクロスSUVとは対照的に、Dセグメントにふさわしい、フラッグシップらしい数字を持つ。
SUVタッチを取り入れたのは、2014年にデビューしたクロスオーバーSUV「C4カクタス」が高い評価を受け、その後のシトロエン・デザインの源流になっていることが大きいだろう。つまりSUVが流行だから、という理由だけではない。
プロポーションは、歴代フラッグシップと比較すると、CXよりXMに似ている。サイドウィンドウ下端のラインが途中でキックアップしたり、リアエンドにスポイラーを備えたりしているところから、そう感じる。ハッチバックであるところもXMと共通だ。
一方でサイドウィンドウまわりは、今年初めに上陸したC4にも似ている。フロントマスクや前後のランプもそうだ。近年のシトロエン・ブランドとしての統一感を持たせたことが理解できる。
ただし、前後のフェンダーの張り出しを強調したC4と比べ、C5 Xのボディサイドは穏やかで、フラッグシップとしての落ち着きを感じるデザインとなっている。
ちりばめられたダブルシェブロン
インテリアは黒基調で、艶と色味を抑えた木目調パネルを配するなど、車格を反映してシックにまとめられている。CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)を担当したのは、フランス本国のデザインスタジオで仕事をする日本人、柳沢知恵氏だ。
とりわけ目立つのは、ロゴマークのダブルシェブロンを効果的に使っていること。シートやドアトリムを走るステッチ、シートのレザーに施されたパーフォレーション(穴開け加工)、ドアトリムに配されたウッドパネルなどだ。
インパネの造形は機能重視。大きめのセンターディスプレイとヘッドアップディスプレイ、対照的にコンパクトなメーターパネルはいずれも表示が整理されていてわかりやすいし、スライド式スイッチのATセレクターやダイヤルを残したエアコンなど、タッチ式に頼りすぎない姿勢も好感が持てる。
肩のあたりから上を明るめの色とした2トーンカラーのレザーシートは、他のシトロエンにも導入されているが、顔まわりを明るくすることでキャビンを開放的に見せつつ、フラッグシップにふさわしい落ち着きも表現できている。
前席は、腰を下ろした瞬間こそ固めに感じたが、その後はシトロエンらしく体を優しく包み込んでくれた。
しかも、上級グレードではヒーターやベンチレーターに加えて多彩なマッサージ機能まで用意されていて、CXやXMの時代には実現できなかった今風のリラクゼーションを届けてくれる。
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