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東京都心に10cmの積雪があった翌日の1月7日、シトロエンの新型「C4」が、電気自動車(BEV)の「Ë-C4エレクトリック」とともに発表された。
会場となった代官山T-SITE(東京都渋谷区)では、車両展示だけでなくグッズ販売も行い、翌日からの3連休には新旧シトロエンが駐車場を埋め尽くす「モーニングクルーズ」も実施された。
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新型C4/Ë-C4は、フォルクスワーゲン「ゴルフ」などが属するCセグメントのハッチバックとして開発された。C4としては3代目になるが、先代は数年前に日本での販売を終えており、シトロエンとしては輸入車市場の31%を占めるCセグメントに再挑戦することになる。
しかも、新型は単なるモデルチェンジではない。「GS」「BX」「C4カクタス」など、独創的なデザインとエンジニアリングで一世を風靡してきたミドルサイズ・シトロエンの伝統を受け継ぐ最新作としても位置付けられる。
BX、初代C4、C4カクタスを乗り継ぎ、現在は1971年式GSに乗る筆者は、輸入販売元のグループPSAジャパンの協力で、昨年、先行生産車に何度か乗る機会をいただき、発表会やモーニングクルーズにも参加した。こうした場で得られた印象をお伝えしていきたい。
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1970年代の「GS」をオマージュ
新型C4のスタイリングは、今のシトロエン・デザインの源流を作ったC4カクタスからの流れをくむクロスオーバー的なボディに、2016年のパリモーターショーでワールドプレミアされたコンセプトカー「Cエクスペリエンス」のフロントマスクを融合させたものだ。
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ちなみにフロントマスクのデザインは、Bセグメントの「C3」や「C3エアクロス」にも2021年のマイナーチェンジで導入されており、今後のシトロエンの顔はこういう方向になると予想できる。
一方、キャビンまわりはC4カクタスがBXに似た造形だったのに対し、今回は戦後初めてゼロから設計されたミドルサイズでもある、GSをオマージュしてきた。違和感が出そうな組み合わせを巧妙に仕上げ、知人を含めた多くの歴代ユーザーから高い評価を受けているのだから、素晴らしい造形センスなのだと解釈している。
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もちろんGSやBXと比べると、ノーズやフェンダーのボリュームが目立つとも言えるが、現在のクルマは衝突安全対策などでフロントやサイドを薄くできない状況でもある。その中でクロスオーバー風フォルムを目指すことにした発想は、クレバーだ。
しかも、ボディは大きすぎない。全長4375mm×全幅1800mm×全高1530mmで、高さを除けば前述のゴルフやトヨタ「カローラスポーツ」とほぼ同じだ。
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